日本政府は、半導体やグリーンエネルギーに不可欠なレアメタルなどの重要鉱物の安定確保に向け、グローバルサウス(新興国・途上国)へのODA(政府開発援助)を積極的に活用する方針を強化している。アフリカなど資源国では、中国や欧米各国が権益獲得競争を激化させる中、高市政権が掲げる経済安全保障の実現にODAを連動させ、資源国との関係強化を図る狙いがある。国内ではODAへの消極的な世論も存在するため、その対応策としても位置づけられている。
JICAがアフリカでベリリウム調査開始
日本のODAを一元的に実施する国際協力機構(JICA)は、2025年10月からアフリカのモザンビークとマダガスカルにおいて、レアメタルであるベリリウムに関する鉱床調査を開始した。ベリリウムは核融合発電など先端技術に利用される重要鉱物で、両国の大学と日本の大学が連携し、鉱床の分布状況などを詳細に調査する。将来的には民間企業の参入も視野に入れている。
日本の強みは環境対策の人材育成
日本は過去の鉱山開発で経験した鉱害問題などを教訓に、環境対策や持続可能な開発に関する人材育成で強みを発揮する。アフリカ南西部のナミビアでは、レアアース(希土類)の埋蔵が確認されており、JICAはODAを活用した資源開発の専門家育成プログラムを実施している。
ナミビア鉱山開発に総合商社参画
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などは、ナミビアのロフダル地域における鉱山開発計画を推進。2026年3月には、総合商社が同事業への参画を正式に公表した。今後はJICAが鉱山周辺の電力や水道などのインフラ整備について、現地のニーズや所得水準に応じたODA活用の可能性を検討する。アフリカでは米国、欧州、中国が投資競争を激化させており、日本の存在感を示すことが急務となっている。
経済安全保障とODAの連携強化
政府関係者は「重要鉱物の安定確保は経済安全保障の根幹に関わる。ODAを活用することで、資源国とのwin-winの関係を構築し、長期的な供給網の安定化を図る」と述べている。また、ODAに対する国民の理解を得るため、具体的な成果を可視化する取り組みも進める方針だ。



