11月のアメリカ中間選挙を前に、トランプ大統領が「共産主義」との戦いを強調している。冷戦終結から約35年。矛先が向かうのは、国賓として迎えたばかりの中国共産党トップ、習近平国家主席ではない。国内の民主党だ。政権が政府資金で広告まで流して、なぜいま、共産主義を攻撃するのか。
政府資金の広告で「共産主義打倒」を宣言
政権が9月下旬からテレビで流し始めた広告で、トランプ氏は「我々は力を合わせて、アメリカにおける共産主義、社会主義、マルクス主義を打ち負かす」と宣言する。「ラブ・ミー(私を愛して)」と繰り返すコーラスを背後に、本人の映像が次々と映し出される画面の下には、小さな文字で「米国政府が資金提供」と表示される。
この広告は、民主党への「共産主義」攻撃につながる内容となっている。
「共産主義」という言葉の使われ方
記事には、アメリカにおける「共産主義」という言葉の位置づけをめぐる指摘が寄せられている。よろず物書き業・翻訳家のマライ・メントライン氏は、「アメリカにおける『共産主義』は、日本のネット民における『左派』と同じ効力を持つ右派のシンボル語で、中国とか北朝鮮とか、リアルで具体的な存在と違って便利」だと述べ、「なんだかわかりやすそうな上に、恣意的なラベリングに使いやすい」と指摘する。
東京大学教育学研究科教授(科学史)の隠岐さや香氏は、「『共産主義』は米国の共和党関係者により、非常に都合よく拡大解釈され、使われてきた用語である」と説明。「市場の原理や弱肉強食の利潤追求に規制をかけようとする政治的意見は、ことごとく『共産主義』の疑いをかけられる傾向があった」と記している。
中間選挙をめぐる与野党の状況
関連ニュースでは、中間選挙で逆風の共和党が不人気でもトランプ氏頼みとなっていることや、民主党も再生が遠いことが伝えられている。中間選挙向けの異例の共和党大会は「トランプ祭り」となり、勝利で配当金を約束するといった内容も報じられた。