中国政府が電気自動車(EV)への移行を強力に推進する中、ガソリン車の需要が依然として根強く、2023年の新車販売台数は過去最高を記録した。中国自動車工業協会(CAAM)のデータによると、2023年の新車販売台数は前年比12%増の約2600万台に達し、うち約2000万台がガソリン車を含む内燃機関車だった。EVとプラグインハイブリッド車(PHV)の販売も伸びているが、ガソリン車の絶対数は依然として大きく、中国の自動車市場が完全にEVに移行するにはまだ時間がかかることを示している。
ガソリン車販売の増加要因
ガソリン車の販売が増加している背景には、いくつかの要因がある。第一に、中国の広大な国土と充電インフラの不足が挙げられる。特に地方部では充電ステーションの整備が遅れており、航続距離に対する不安から消費者はガソリン車を選ぶ傾向が強い。第二に、ガソリン車の価格がEVに比べて依然として低いことだ。中国政府はEV購入補助金を段階的に縮小しており、価格差が縮まらない限り、消費者がガソリン車から乗り換えるインセンティブは限定的である。
政府のEV推進政策と現実のギャップ
中国政府は2035年までに新車販売の大半をEVにする目標を掲げているが、実際の販売データは目標達成の難しさを示している。2023年のEV販売台数は約600万台で、市場シェアは約23%にとどまった。これは前年の約20%から上昇したものの、政府の期待には及ばない。業界アナリストは「EV普及のペースは加速しているが、ガソリン車の需要が急減することはないだろう。特に低所得層や地方の消費者にとって、ガソリン車は依然として現実的な選択肢だ」と指摘する。
自動車メーカーの対応
こうした状況を受け、中国の自動車メーカーはEVとガソリン車の両方を生産する戦略を続けている。比亜迪(BYD)はEVとPHVに注力する一方、吉利汽車や長城汽車はガソリン車の新型モデルを投入し、需要を取り込んでいる。フォルクスワーゲンやトヨタなどの外資系メーカーも、中国市場向けにガソリン車とEVの両方を展開している。ある外資系メーカーの幹部は「中国市場は依然としてガソリン車の需要が大きい。EVシフトは長期的なトレンドだが、短期的にはガソリン車の販売も重要だ」と述べている。
今後の見通し
中国政府はEV普及を促進するため、充電インフラの整備やバッテリー技術の向上に投資を続けているが、ガソリン車の需要が短期間で大幅に減少する可能性は低い。国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、2030年時点でも中国の新車販売に占めるEVの割合は約50%にとどまる見通しだ。これは、ガソリン車が少なくともあと10年は中国市場で重要な役割を果たし続けることを意味する。



