米民主党予備選、急進左派エルサイド氏が勝利
米民主党予備選、急進左派エルサイド氏が勝利

11月の米中間選挙に向けたミシガン州の連邦上院議員候補を決める予備選が4日に実施され、急進左派の公衆衛生専門家アブドゥル・エルサイド氏が穏健派のヘイリー・スティーブンス連邦下院議員を破り、勝利を確実にした。

エルサイド氏、結束呼び掛け

エルサイド氏は5日、支持者らを前に「私たちを結束させるものは、私たちを分断するものよりもはるかに大きい」として民主党の結束を呼び掛け、2024年大統領選で民主党のカマラ・ハリス前副大統領を支持した有権者から共和党のドナルド・トランプ大統領を支持した有権者までを含める、広範な運動を構築すると表明した。

党の方向性を占う試金石となった予備戦で、エルサイド氏は過去最大規模の資金を投じた親イスラエルのロビー団体「米国イスラエル公共問題委員会(AIPAC)」系政治団体などの支援を受けたスティーブンス氏に勝利。「モハメド・アリの言葉を借りれば『私たちは世界を揺るがせた』」と表現した。

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共和党との対決に向け

エルサイド氏は、共和党が自身を激戦州ミシガン州にはリベラル過ぎる過激派だと印象付け、イスラム教徒としての自身の出自を悪用してくるだろうと予想。「彼らは勝つための唯一の方法が、私たちを泥試合に引きずり込むことだと考えている」と述べた。

しかし同氏は、政治的な意見が異なる有権者であっても、物価高対策、医療問題、そして大企業の大口献金を通じての影響力への反対という点では結束できると主張。「私の名前はガソリン価格を上げているわけでも、米国を戦争に引きずり込んでいるわけでも、お金が足りなくて食料品が買えない原因でもない」と訴えた。

続いて、11月の中間選挙で対決する共和党のマイク・ロジャーズ元下院議員に矛先を向け、「臆病者」と呼んで5回の討論会を要求するとともに、トランプ氏や大口献金者である大企業に忠誠を誓っていると糾弾。「誰かの靴をなめる上院議員が欲しいなら、マイク・ロジャーズ氏に投票すればいい」「だが、ドナルド・トランプ氏に立ち向かう上院議員が欲しいなら、選択肢はまさにここにある」と呼び掛けた。

進歩派の支援と公約

エルサイド氏は、バーニー・サンダース上院議員やアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員らプログレッシブ(進歩派)と呼ばれる急進左派の指導者たちや、全米自動車労働組合(UAW)の支援を受けている。

同氏の公約には、国民皆保険、資産10億ドル以上の富豪ビリオネアへの増税、イスラエルへの無条件の軍事支援停止、そして選挙における企業献金の役割縮小などが含まれている。

イスラエル問題が焦点に

今回の予備選は、イスラエル問題をめぐる分断が大きく影を落とした。エルサイド氏がパレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルの行動をジェノサイド(集団殺害)と批判し、軍事支援停止を求めたのに対し、スティーブンス氏は米イスラエル関係を擁護し、AIPACの政治部門から3000万ドル(約47億円)以上の資金支援を受けた。

エルサイド氏の勝利は、反既得権益層(エスタブリッシュメント)を掲げて勢いに乗る進歩派にとって今年最大の成果となった。

今後の展望

エルサイド氏は勝利演説の中で、反ユダヤ主義やイスラム恐怖症(イスラモフォビア)だとの非難が飛び交った選挙戦を経て、ユダヤ系の有権者を安心させようと試みた。

共和党側は、エルサイド氏の指名獲得を歓迎しており、イスラエル、移民、医療問題に関する同氏の立場が11月中間選挙で弱みになると考えている。

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トランプ氏もラスベガスでの演説でエルサイド氏の指名獲得を歓迎し、「どの世論調査を見ても、共和党にとっては共産主義者相手の方が有利だ」と述べ、エルサイド氏を「憎悪の男」と呼んだ。