イスラム組織ハマスの幹部タヘル・ヌヌ氏(51)は、カタールの首都ドーハで読売新聞の単独インタビューに応じ、パレスチナ自治区ガザの暫定統治を監督する平和評議会が提案した15項目の工程表について「ハマスは全てを一括して受け入れ、署名した」と明らかにした。
工程表の内容とハマスの立場
この工程表は、米国主導の平和評議会が7月末に仲介国を通じてハマスに提示したもので、イスラエル軍のガザからの撤退やハマスの武装解除、復興の手順が盛り込まれている。トランプ米大統領はハマスが武装解除に「合意」したと発表したが、ハマスがどこまで合意したのかは明確になっていなかった。
ヌヌ氏は、イスラエル軍のガザ撤退を条件に、「ハマスは重火器を(ガザの統治を担うパレスチナ人専門家で構成する)行政委員会に引き渡す」と明言した。小火器を含む全面的な武装解除に応じるかは明らかにしなかった。
ガザ統治と交渉の現状
ガザの統治を巡っては、ヌヌ氏は「ハマスは権限を行政委員会に引き渡す準備ができている」と述べ、民政上の統治権限を引き渡す考えも示した。
一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は8月、「ハマスが武装解除するまで軍を撤退させない」との考えを表明した。武装解除と軍撤退のどちらを先行させるかで双方は対立し、ヌヌ氏によると、それ以降、交渉は停止している。
インタビューでの主な発言
ヌヌ氏は、ハマス最高幹部ハリール・ハヤア氏の政治・メディア顧問を務める。2023年10月7日のハマスによる奇襲を発端にガザで始まった戦闘が来月7日で3年となるのを前に取材に応じた。
インタビューでは、10・7の奇襲について「イスラエルの攻撃からの自衛だ」と述べ、「歴史は10・7に始まったわけではない」と主張した。また、ガザでの戦闘については「イスラエルは、幼い子供、若者、女性を戦闘員と区別せずに標的とし、病院や学校、国連施設も含めて全面的に破壊した。ジェノサイド(集団殺害)が起きた」と非難した。
停戦交渉に関しては「ハマスは、平和評議会が提案した15項目の工程表を受け入れ、交渉は最終段階に達した」と述べ、工程表の実現には五つの鍵があると説明した。具体的には、イスラエルが合意を完全に履行すること、パレスチナ人による行政委員会の設置、国際部隊の展開、パレスチナ国家への道筋、ガザの再建を挙げた。
さらに「イスラエル側が提案を拒否した。国際社会の役割は、イスラエルに提案を受け入れさせることだ」と述べ、ネタニヤフ首相は「合意を望んでいない。選挙に勝ちたいだけだ」と批判した。
ヨルダン川西岸については、イスラエルが毎日、パレスチナ人の土地や住宅を奪い、農地を破壊し、人々を殺害しているとし、「第3次インティファーダ(反イスラエル蜂起)が起きる可能性があると予想している」と述べた。
イスラエルとの和平については「イスラエルがパレスチナ人の権利を認めると表明した時に初めて議論できる」とし、「イスラエル側には和平のパートナーがいない」と語った。
ハマスの今後については「最高幹部ハリール・ハヤア氏の下で抵抗運動としての政策を継続している」とし、「アラブ・イスラム諸国との関係を重視し、イスラエルによる侵略を止めるために最善を尽くす」と述べた。



