丸首のシャツやジーンズといったカジュアルないでたちに、北部なまりの気さくな語り口。「庶民派」を前面に押し出す「キング・オブ・ザ・ノース(北部の王)」が、国政復帰からわずか1カ月で英国の首相に就任する。英国労働党のアンディ・バーナム氏は、2026年6月29日にマンチェスターで行われた党大会で新党首に選出され、その後、7月20日には首相に就任する見通しだ。
リバプール近郊で生まれ、労働党に入党
バーナム氏は1970年、イングランド北部リバプール近郊で生まれた。マンチェスター近郊の町で、電話技師の父と診療所の受付係の母のもと、3人兄弟の真ん中として育った。地元のカトリック系公立校で学び、10代なかばで労働党に入党。失業したリバプールの労働者たちを描いたBBCのドラマを見て、「何かしなければ」と政治を志したと、英メディアに語っている。
ケンブリッジ大学で英文学を専攻し、その後、地方議員を経て国会議員に。2015年から2020年まで労働党の影の内閣で保健相を務めたが、2020年に党首選に出馬し、キア・スターマー氏に敗れた。その後、2021年にマンチェスター市長に就任し、地方政治で手腕を発揮。2026年6月にスターマー首相が辞任したことに伴い、国政に復帰し、無投票で労働党党首に選出された。
国政復帰から1カ月での首相就任
バーナム氏の首相就任は、国政復帰からわずか1カ月という異例のスピードだ。英メディアは「北部の王」が再び国政の舞台に戻り、首相の座に就くことで、英国政治に新たな風を吹き込むと期待する一方、政権運営の経験不足を懸念する声もある。
バーナム氏は、カジュアルな服装と親しみやすい人柄で支持を集めてきた。マンチェスター市長時代には、交通インフラの整備や雇用創出に実績を上げ、地方の声を国政に届ける役割を果たした。首相就任後は、経済再生や国民保健サービス(NHS)の改革、気候変動対策などが優先課題と見られる。
政権運営は未知数、課題山積
しかし、バーナム氏の政権運営は未知数な点も多い。労働党内では、スターマー前首相の路線を継承する穏健派と、より左派的な政策を求める勢力との間で亀裂が生じている。バーナム氏自身は中道左派と見られるが、党内の結束を維持しながら、議会での過半数を確保できるかが焦点となる。
また、英国はEU離脱後の貿易協定の見直し、インフレ抑制、エネルギー価格高騰への対応など、複合的な課題に直面している。バーナム氏のリーダーシップが試されることになる。



