文化庁の文化審議会世界文化遺産部会は3日、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を目指す国内候補に「彦根城」(滋賀県彦根市)を選んだ。2028年の登録に向け、政府は来年2月1日までに正式な推薦書をユネスコに提出する。
築城から約20年、井伊家の居城
彦根城は1604年から約20年かけて築かれ、彦根藩主・井伊家が居城とした。推薦書案では、国宝や重要文化財に指定されている天守や櫓、門のほか、堀や石垣、藩主の住まいだった御殿跡、重臣屋敷跡など城全体を、江戸時代の徳川幕府の安定と平和を各地の大名が支えた「大名統治システム」の象徴としている。
事前評価制度を初活用、5度目の推薦書案提出
1992年に世界文化遺産の国内候補「暫定リスト」に記載されたが、93年に姫路城(兵庫県姫路市)が世界文化遺産となり、同じ城郭としては登録は難しくなった。そこで大名統治システムを打ち出し、さらにユネスコの諮問機関の助言を受ける「事前評価制度」を日本の候補で初めて活用。2024年に評価基準を「満たす可能性はある」とされ、今年5月に5度目の推薦書案を提出していた。
同部会は、「統治システムを物証できるものとして顕著な普遍的価値が認められる」などと評価。菱田哲郎部会長は「事前評価制度を取り入れたことにより、どこをどう直せばよいのかがわかりやすくなった」と述べた。
地元は歓喜、ひこにゃんも見守る
推薦決定を受けて、彦根城の地元は歓喜に沸いた。彦根市役所では、市の人気キャラクター「ひこにゃん」が見守る中、田島一成市長らが記者会見。「長年にわたり彦根城を大切に守り、支えてきた市民の思いが、一歩世界へと近づいた」と笑顔。彦根観光協会の木村昌弘会長(65)は「第一関門の突破を達成して、うれしいの一言。歴史的な好機を確実に捉え、市や関係団体と連携して機運を盛り上げたい」と意気込んだ。



