牧原秀樹元法相(自民党)が自身のX(旧ツイッター)アカウントに、日本が技術協力するインドの高速鉄道計画の遅延について「インド側のせい」と受け取れる投稿をしたことに対し、インド外務省のランディール・ジャイスワル報道官は17日の定例会見で「事実と大きくかけ離れている。日印間の実際の協議は順調に進んでいる」と強く反発した。
牧原氏の投稿内容とインド側の反応
牧原氏は16日、Xに「国際会議や交渉の場で繰り返されるインド人のむちゃくちゃぶりが際立っていた」と投稿。自身も高速鉄道計画に関わった経験があるとした上で、インド側が約束を守らないと指摘し、担当大臣の対応についても「ひどい」と批判した。この投稿に対し、インド外務省報道官は「建設工事は急速に進んでおり、来年には一部開業する見込みだ」と述べ、計画は順調に進んでいるとの認識を示した。ただし、報道官は牧原氏の「むちゃくちゃ」との表現や担当大臣への評価には直接言及しなかった。
日印高速鉄道計画の現状
この高速鉄道計画は、インド西部のアーメダバードとムンバイ間の総延長約508キロを約2時間で結ぶもので、日本の新幹線方式(E5系・H5系をベースとした車両)を採用する。日印協力の象徴的事業として位置づけられ、2017年にナレンドラ・モディ首相と安倍晋三首相(当時)が出席して起工式が行われた。当初は2023年の開業を目標としていたが、用地取得に伴う住民の反対や環境アセスメントの遅れなどにより、開業は大幅に遅れている。現在の目標は2026年の一部開業、2027年の全面開業とされているが、複数の区間で工事が進んでいるものの、全体的な進捗は計画の約30%程度にとどまるとの見方もある。
政治的影響と今後の展望
牧原氏は法相や厚生労働相、外務副大臣などを歴任したベテラン議員で、インドとの交渉経験も豊富とされる。今回の投稿は、与党内でもインド側の対応に不満を持つ一部議員の声を代弁したものとも受け止められている。一方、日本政府は公式には「日印関係は極めて良好であり、本計画は両国の協力の象徴だ」として、インド側との協議を継続する方針を示している。専門家からは、計画の遅延は現地の事情によるものであり、一方的な批判は両国関係に悪影響を及ぼす可能性があるとの指摘も出ている。インド外務省報道官は会見で「日本側には常に最新の進捗を報告しており、両国間の協力に問題はない」と強調し、牧原氏の投稿が政府見解ではないことを暗に示した。
背景と両国の思惑
インドの高速鉄道計画は、日本のODA(政府開発援助)案件として最大級のもので、総事業費は約1兆8000億円とされる。日本は新幹線技術の海外輸出の目玉として位置づけており、インド側も中国の高速鉄道に対抗する意味で日本の技術を選んだ経緯がある。しかし、用地取得の難航や建設コストの上昇、パンデミックの影響などでスケジュールは遅れ、インド国内でも批判の声がある。牧原氏の投稿はこうした遅延へのフラストレーションを反映したものとみられるが、インド側は「計画は順調」との立場を崩していない。今後の開業時期の具体化や、両国間の協議がどのように進むかが注目される。



