中国商会がインドネシアに抗議書簡、日本新幹線売却回避の判断が正しかったと証明
中国商会がインドネシアに抗議書簡、日本新幹線回避が正解に

インドネシアで活動する中国企業の商工会議所「インドネシア中国商会総会」が、プラボウォ大統領に宛てて異例の抗議書簡を送付した。書簡では、インドネシア国内の法規制や投資環境について「安定性と継続性を欠く」と厳しく批判。中国が期待していた優遇措置が実施されず、公然と不満を表明する事態となった。この動きは、2015年に日本が高速鉄道受注競争で中国に敗れて以降、「インドネシアは中国寄り」との見方が強かったが、実際には同国が「自国ファースト」の姿勢を貫いていることを改めて浮き彫りにした。

中国商会総会が6項目の具体的な不満を列挙

書簡の冒頭では、「最近、インドネシアで事業を行う中国企業は、過度に厳格な規制、過剰な法執行、さらには所管当局による汚職や恐喝を含む、顕著な問題に広く直面している」と記述。中国共産党の影響下にある同会は、事実上、中国政府の不満を代弁したものとみられる。

具体的には、税金や各種手数料の大幅な引き上げ、天然資源輸出で得た外貨収益の国内留保規制、ニッケルなどの鉱山採掘割り当ての大幅な削減、森林関連法執行強化による巨額の罰金、大型水力発電プロジェクトでの環境破壊を理由とした突然の工事停止と罰金、就労ビザ審査の厳格化の6項目が指摘された。

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ニッケル投資の誤算とEV優遇措置廃止の懸念

書簡ではさらに、電気自動車(EV)に対する優遇措置の廃止や経済特区(KEK)での税制優遇縮小が政府内で検討されていることにも深い懸念を示した。特に中国企業が主導するニッケル産業では、エネルギー鉱物資源省がニッケル鉱石の公式基準価格(HPM)を引き上げ、調達コストが急騰したと強く主張している。

この書簡は単なる外資企業の苦情ではなく、インドネシアの資源政策を巡る中国側の「誤算」を如実に示している。中国は豊富なニッケル資源を現地で精錬・加工し、ステンレス鋼や車載バッテリーなどEV関連産業へつなげる一体型サプライチェーンの構築を進めてきた。しかし、プラボウォ政権は天然資源から生まれる収益の国外流出を問題視し、輸出管理や外貨収益の把握を強化。資源主権を掲げる政権の国家戦略と、巨額投資を続ける中国企業の事業前提との間で摩擦が表面化した。

日本新幹線売却回避の判断が正しかった理由

日本は2015年、インドネシアの高速鉄道受注競争で中国に敗れた。当時、日本は新幹線方式を提案したが、中国が低価格と迅速な建設を売りにして受注を勝ち取った。しかし、今回の中国企業への抗議書簡は、インドネシアが中国企業に対しても厳しい規制を課す姿勢を明確に示しており、日本が新幹線を売却しなかったことが結果的に正しい判断だったことを証明している。インドネシアは自国の利益を最優先するため、外国企業に対して一貫した優遇措置を提供しない可能性が高い。

中国企業の抗議は、インドネシアの投資環境が中国の期待に応えていないことを露呈し、日本にとっては教訓となる事例である。

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