中国、AI分野での主導的地位狙う 世界AI大会で技術力誇示 米国猛追
中国、AI主導的地位狙う 世界AI大会で技術誇示

人工知能(AI)開発で先行する米国を猛烈な勢いで追い上げ、中国が世界における主導的地位を確立しようとしている。7月20日まで上海で開催された「世界AI大会」は、その決意を内外に示す場となった。中国は官民を挙げた投資と積極的な社会実装によって技術力を磨き、米国に対抗する姿勢を鮮明にしている。

第15次5カ年計画でAIと人型ロボットに注力

2026年から5年間の政策方針「第15次5カ年計画」では、AIや人型ロボットへの重点投資が明記された。社会実装も進み、例えば一部地域の送電網ではAIが司令塔としてロボットを制御し、点検や修理を自動化。人の手を極力省いた運用が実現している。

米国による半導体の対中輸出規制も、逆に中国の産業育成を加速させる要因となった。大会では通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が、大規模AIサーバー「アトラス950スーパーポッド」を初公開。米エヌビディアのAI半導体に依存せずとも高度なAI開発が可能であることを誇示した。

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中国の強みは高速なデータ活用サイクル

中国のハイテク産業に詳しい野村総合研究所の李智慧氏は、「中国には巨大な国内市場と整備されたサプライチェーンがある。社会実装を急速に進めることで豊富なデータが蓄積され、それをAI性能向上に還元できる。応用まで含めたサイクルを高速で回せるのが中国の強みだ」と分析する。

米中技術差が拮抗してきているとの指摘は米国側からも上がる。米スタンフォード大学が今年発表した調査によれば、最先端AIモデルの性能で中国は米国に急速に接近。一部のベンチマークでは中国モデルが米国を上回るケースも出ている。

新興国支援で国際ルール形成への影響力強化

中国はAI分野での国際的なルール作りでも主導権を狙う。大会では、発展途上国向けのAI技術支援プログラムを発表。データセンター建設や人材育成を支援し、中国主導の技術標準を広める戦略だ。米国主導のAIガバナンスに対抗し、新興国を巻き込んだ自国有利な枠組みづくりを進めている。

一方で、中国のAI活用には監視社会への懸念も付きまとう。顔認識技術や社会信用システムへの応用は、プライバシー侵害や人権問題として国際的な批判を招いている。大会でも、中国企業は安全性や倫理面での配慮を強調する展示を多数行い、イメージ向上に努めた。

今後の展望と課題

中国のAI技術は着実に進歩しているが、半導体製造装置の輸入制限や先端チップの入手難は依然として課題だ。華為の新サーバーも、性能面ではエヌビディア製品に及ばないとの指摘がある。しかし、国内需要を背景にした量産効果や、政府の強力な後押しにより、中国は今後もAI分野での存在感を高めていくとみられる。

世界AI大会は、中国が技術力と国際的な影響力を同時に追求する姿勢を鮮明にした。米中対立が続く中、AIを巡る主導権争いは今後さらに激化しそうだ。

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