南米アルゼンチンのハビエル・ミレイ政権は2日、同国に少なくとも35万ドル(約5500万円)を投資する外国人に対し、国籍を提供すると発表した。
投資による国籍取得プログラムの概要
経済協力開発機構(OECD)によると、アルゼンチンは国内総生産(GDP)で中南米においてはブラジル、メキシコに次ぐ3位だが、対内直接投資(FDI)で両国を大きく下回っている。
急進的な自由市場主義者のミレイ氏は、競争力を強化し、財務省の枯渇しつつあるドル準備金を補てんする狙いから、歳出削減や経済規制の緩和、貿易障壁の撤廃を推し進めてきた。
だが、経済学者のマクセロ・エリソンド氏はAFPの取材に対し、「投資家らは、ジェットコースターのように激しく変動するアルゼンチン経済が、現在行っている改革を長期的に持続可能であるかどうかを見極めようとしている」と語った。
制度の詳細と審査プロセス
仏パリで開催された「アルゼンチン・ウイーク」に合わせて発表されたこの「投資による国籍取得プログラム」は、アルゼンチン国籍を取得するための二つの「シンプルかつ透明性の高い仕組み」を提示している。
外国人は、「国庫への35万ドルの直接かつ返金不可の納付」、またはこの目的のために特別に発行される「国債80万ドル(約1億2600万円)の購入」のいずれかを選択できる。
その配偶者および子どもについても、国庫へ10万ドル(約1580万円)、18歳未満の場合は2万5000ドル(約390万円)を納付することで国籍を取得することができる。
政府は「獲得した資金は、アルゼンチン共和国の財政および金融基盤のさらなる強化に充てられる」と説明した。
経済省はX(旧ツイッター)への投稿で、一連の投資について「資金の追跡性、マネーロンダリング(資金洗浄)の防止、および国家安全保障を保証する厳格な審査プロセスが適用される」と述べた。
批判と今後の展開
だが、一部のアナリストからはどのような投資家を惹きつけることになるのかを疑問視する声も上がっている。
ミレイ政権の政策を度々批判してきた経済学者のパブロ・ティガニ氏は、「他国では帰化を認められないような怪しい素性の人物や麻薬組織(カルテル)構成員を呼び込むことにつながりかねない」と懸念を示した。
土地所有規制の撤廃も波紋
これに先立ち、最高裁は9月29日、2011年以降導入されていた外国人による農村部の土地所有率を15%以下に制限する規制を撤廃する2023年の大統領令を合憲とする判断を下した。
英領フォークランド(スペイン語名マルビナス)諸島をめぐる1982年のフォークランド紛争に参加した退役軍人らはこの大統領令に猛反発し、ミレイ氏が「アルゼンチン共和国を売り渡している」と非難している。
この規制緩和に抗議するデモが来週実施予定で、野党側も国会で阻止を目指す構えだ。