「新しい戦い方」への移行に伴い、戦闘が行われる領域は従来の陸海空から宇宙空間へと拡大している。人工衛星などの宇宙システムは、地上の敵の位置や動きを正確に把握し、司令部や前線部隊、ドローンを衛星通信網で結び、精密攻撃を支える重要な役割を果たすようになってきた。
米中央軍が明かした宇宙軍の役割
3月中旬の対イラン軍事作戦を説明する記者ブリーフィングで、米中央軍のブラッド・クーパー司令官は「宇宙での優位性は、今回の戦いに不可欠な基盤だった」と述べた。「世界には見えていないが、宇宙軍は二つのことをしている」とし、①イランの能力低下②米軍部隊の防護支援――を行っていることを明らかにした。
詳細は明かされなかったが、宇宙軍は対イラン作戦でイラン側のGPS利用や通信を妨害・混乱させる一方、米側にはイランの軍事動向に関する警戒情報や部隊間の安定的な通信を提供する重要な役割を担っているとみられる。
宇宙の優位性が戦力の優位性に直結
宇宙安全保障に詳しい片岡晴彦・元航空幕僚長は「GPSや衛星画像による敵のターゲティングなど宇宙空間を利用した作戦運用で、宇宙の優位性が戦力の優位性に直結し始めている」と指摘する。「大きな軍事作戦を展開する際は、衛星などの活用が前提条件だ。宇宙システムは『持っていた方がよい』から『持たなければいけない』という状況に変化した」と語る。
ウクライナ戦争が宇宙領域への注目を集める
宇宙が国際的に注目を浴びるきっかけはウクライナ戦争だった。ウクライナは当初、ロシアによる通信インフラへの攻撃で通信状況が不安定化したが、イーロン・マスク氏率いる宇宙企業「スペースX」の衛星通信網「スターリンク」を活用。政府機関や軍の通信が維持され、前線でも指揮統制や部隊間連携を支え、ドローンなど無人機による迅速な攻撃を可能にしているとみられる。
防衛装備庁幹部の一人は「ウクライナ戦争でのスターリンクをめぐる動きを見て、宇宙領域は極めて重要だと改めて認識した」と語る。
中国の宇宙能力が米国を急追
軍事分野における宇宙での能力について、片岡氏によると、今のところ米国を主軸とする西側諸国が優勢ではあるものの、中国が近年、米国を急激に追い上げているという。米国は米ソ冷戦時代から宇宙…
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