タイパ主義×完璧主義が心を壊す…臨床心理士が教える休息の科学的価値
タイパ主義×完璧主義が心を壊す…休息の科学的価値

効率的な時間の使い方が「正しさ」や「努力の証」とされる風潮があるが、東京大学大学院特任研究員で臨床心理士の関屋裕希氏は、そのような考え方が心のバランスを崩す原因になると警鐘を鳴らす。関屋氏は、「休むことの大切さを裏付ける科学的研究は数多く存在するが、実際に休むには勇気や決断力、行動力が必要だ」と指摘する。

タイパ主義と完璧主義の危険な組み合わせ

時間を完全に活用しようとする「タイパ主義」と、高い成果を求める「完璧主義」が合わさると、「どんな時間も完璧に有効活用しなければ価値がない」という思考に陥りやすい。関屋氏は、タイパを追求する人は「時間を一瞬たりとも無駄にしたくない」という強い思いを持ち、完璧主義の人は「最短の時間で最高の成果を出さなければならない」とこだわると説明する。

この組み合わせにより、計画通りに進まないと焦りやイライラが生じ、少し休んだだけで「自分に甘い」と自己批判するようになる。関屋氏は、どれだけ仕事を頑張っても「これだけ時間をかけたのに素晴らしい成果が出せないなら意味がない」と満足できず、「完璧にできなかった自分は劣っている」と自分を責めてしまう傾向があると述べている。

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うつ状態やバーンアウトにつながる心のメカニズム

完璧主義の人にとって、タイパよくできなかったことは単なる失敗ではなく、自己評価を傷つける出来事となる。関屋氏は、これにより常に緊張や焦り、不安の中で生きることになり、慢性的なストレスや自己否定感、燃え尽き(バーンアウト)を引き起こす可能性があると警告する。自責や自己評価の低下は、うつ症状にもつながりかねない。

さらに、仕事だけでなく食事や運動、休息までもが「最適化すべきタスク」となり、すべてを管理・効率化しなければ気が済まなくなる。最初は軽い不安や緊張だったものが、やがてうつ状態やバーンアウトといった心の不調へと発展するケースもあるという。「なぜこんなに疲れているのかわからない」「何をしても満たされない」という感覚は、心が休めていないサインかもしれないと関屋氏は指摘する。

休息の科学と実践の難しさ

関屋氏は、休むことの重要性を科学的に裏付ける研究は十分にあるとしながらも、実際に休むことの難しさを強調する。現代社会では「他人軸の時間」が増えやすく、他人と比較することが避けられない環境にある。その中で、自分自身に優しい時間の使い方を見つけるには、勇気と決断力、行動力が必要だという。

関屋裕希氏の著書『仕事が終わらないのはだれのせい? 自分に優しい時間の使い方』(日経BP)は、このような問題に対する具体的なアプローチを提示している。

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