新宿駅南口を出た先、新しく建設された超高層ビルの最上階。そこにある個人投資家の事務所に向かう銀行マンの姿があった。彼が訪ねるのは、数少ない日本人顧客の一人で、「ドリーマー」の名でSNSインフルエンサーとして知られる30代前半の若者だ。
元ニートが億万長者になった経緯
ドリーマーは大学を中退し、FXとパチスロで生計を立てていた。円が下落する過程で、レバレッジをかけた巨額の円買い・ドル売りのポジションを構築し、莫大な利益を獲得した。AIはさらなる円安を予測していたが、それに逆らう逆張りで成功したことで、「神」と呼ばれるようになった。
その資金を元手に不動産投資を始め、今では渋谷や青山に数棟のビルを所有するに至っている。
スタグフレーションがもたらした富裕層の入れ替わり
インフレと不況が同時に進行するスタグフレーションの結果、この10年で日本の富裕層はほぼ全面的に入れ替わった。かつての資産家たちは没落し、新たなプレイヤーが台頭したのだ。
大手銀行の支店長が、額の汗を拭いながらサイバールームから出てくる。実質国有化されたその銀行は公務員並みの給与しか支給できず、有能な人材はすべて外資系に流出した。残されたのは英語も話せず、金融の専門知識もない中高年ばかりだ。
銀行マンが頭を下げる時代
彼らにできることといえば、かつてはゴミか虫けらのようにしか思っていなかったニートの若者のもとに日参し、融資させてほしいと懇願することだけだ。ホテルのロビーのような豪華なリビングで、円高で超高級品となったハワイコナのコーヒーを味わいながら、その光景を眺める。
作家の橘玲氏は新著『プアジャパン』(プレジデント社)の中で、このような近未来を描いている。橘氏は「日本人はいま、大きな分岐点に立っていると思う。自分と家族の未来を守るためにできる選択がある」と述べている。



