中国製部品ほぼゼロのロボット開発、印スタートアップが規制追い風に競争優位
中国製部品ほぼゼロのロボット開発、印スタートアップが競争優位

インドのスタートアップAti Roboticsは、中国製部品への依存を極力抑えたロボットを開発している。米国が中国製ロボットへの規制を強化するなか、その戦略が思わぬ競争優位につながろうとしている。

米国の規制強化が追い風に

7月下旬、米国の規制当局は、外国で生産された先進ロボットについて、米国の国家安全保障などに「容認できないリスク」があるとして、米国での新規販売に必要な認証を原則認めないと発表した。これを受け、インドでロボットを組み立てるAti Roboticsの最高経営責任者(CEO)、サウラブ・チャンドラは、この機会を生かそうとしていた。チャンドラは、自社が使用する中国製部品は、米国のほぼすべてのロボット企業よりも少ないと確信している。

PitchBookによると、今年はロボット工学分野のスタートアップへの投資額、投資件数ともに過去最高を記録したという。しかし、そうした企業の多くは主にソフトウェアを開発しており、ハードウェアに関しては依然として中国のサプライヤーに大きく依存している。ヒューマノイドなどの先端機器を中国から輸入することを禁止するという米連邦通信委員会(FCC)の決定は、米国の多くの小規模なロボット企業の成長を阻害する可能性がある。一方で、Ati Roboticsを含む一部の企業には有利に働く可能性がある。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

インド発ロボットメーカーの戦略

Ati Roboticsは2017年、自律走行車向けのモーター開発を目的に設立された。数年後、同社は事業の軸足をロボット製造へと移し、大型施設内で何トンもの資材を運搬するタガー(牽引車)やパレットムーバーなどの荷役ロボットを手がけるようになった。より高い機能性を実現するには自社でハードウェアを開発する必要があると考えたためだ。

チャンドラによれば、この判断には多くのアドバイザーが反対したが、結果的には中国への依存を抑えることにもつながったという。そして、その成果はすでに表れ始めている。Ati Roboticsは現在、倉庫や工場で数百台のロボットを稼働させ、50社を超える顧客に導入しているという。重量物のコンテナ運搬を担う同社初のヒューマノイドロボットは、今年後半に稼働を開始する予定だ。

コスト競争力の秘訣

『WIRED』はチャンドラに話を聞き、Ati Roboticsがいかにして中国への依存を抑えながら、価格と性能の両面で業界最高水準の製品に匹敵するロボットを開発してきたのかを尋ねた。以下のやり取りは、簡潔明瞭にするため編集を加えている。

──ハードウェアの開発にはコストがかかります。資金面でどのようにしてそれを維持できたのでしょうか?

研究開発拠点がベンガルールにあるため、人件費を抑えられています。インドのベンガルールでは当時、二輪車や三輪車の分野で電気自動車(EV)革命が起きていました。そして、わたしたちがロボット業界向けにつくっていた種類の車両が、たまたまEV業界で製造されていた二輪車や三輪車と似た出力特性や特徴をもっていることが判明したのです。わたしたちは、車両用に開発された部品やサプライチェーンを活用しようと試みました。一般的に自動車部品は信頼性が高く大量生産されるため、非常に優れており費用対効果も高いのです。部品をロボットで機能させるために一部の供給業者と共同でエンジニアリングを行なう必要はありましたが、それを実現できたことで、大きな優位性につながりました。

──Ati Roboticsのロボットモデルのうち、1機種は中国製部品を使っていないということですが、ほかのモデルは違うのでしょうか?

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

わたしたちの製品モデルは、それぞれ部品調達におけるサプライチェーンの安定性が異なります。最も売れている2つのモデル、つまり1万ポンド(約4.5トン)を牽引できるタガーやパレットムーバーは、中国から調達している部品がごくわずかです。これらは台車を牽引するもので、倉庫から工場ラインへ、あるいはある工程から別の工程へと原材料を運ぶ際に使われます。