コオロギ昆虫食で倒産の元社長、鳥インフル経口ワクチンで再起目指す
コオロギ昆虫食で倒産の元社長、鳥インフルワクチンで再起

徳島大学発のスタートアップ「グリラス」が、負債1.5億円を抱えて倒産した問題で、元社長の渡邉崇人氏が現在も徳島大学に所属し、コオロギの研究を続けていることが明らかになった。渡邉氏は2~3年後をメドに再び起業する考えを示し、現在は鳥インフルエンザの経口ワクチン開発に取り組んでいる。

食用コオロギの課題と反省

渡邉氏は、食用コオロギが普及しなかった理由について「生理的な嫌悪感などネガティブな印象が付きまとってしまい、価格面からも積極的に選ばれづらかった」と振り返る。さらに「SDGsやサステナブルな文脈で訴求する以前に、消費者にとってシンプルにメリットのある商材を提供するべきだった」と反省を語った。

その反省を踏まえ、現在は“メリットのある商材”として、鳥インフルエンザの経口ワクチンの研究開発を進めている。食用として展開していたコオロギを、動物向けの医薬品として転用し、ピボットを目指すという。

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鳥インフル経口ワクチンの開発

鳥インフルエンザのワクチンは現在、注射タイプが一般的で、一羽ずつ注射を打つには膨大な労力がかかる。そこで渡邉氏は、コオロギの体内にワクチン成分を生成する研究を進め、餌としてコオロギを食べたニワトリに免疫がつく技術を開発している。

「ビジネスも研究もPDCAサイクルの繰り返しで、原則として本質は一緒だと思っています。もちろん一般的なビジネスであれば、資金面や市場環境など左右される側面も大きいですが、基本的に研究者はビジネスの才覚があるはずです。大学発のスタートアップとしてビジネスがうまく回れば、研究や学部全体の予算を潤沢に回せるようになる」と渡邉氏は語る。

事業の順番を変更

グリラスでは当初、①人間向けの食用コオロギを流通させて先行投資を回収し、②次に動物の飼料として展開、③その後鳥インフルエンザの経口ワクチンなど食用以外のソリューションを実装するという3段階のロードマップを描いていた。

しかし実際は、人間向けの食用コオロギは生理的な嫌悪感や価格帯がネックとなり、市民権を得るのが難しく、かえって炎上を引き起こして逆効果となった。そこで現在は、展開の順番を変え、①まず経口ワクチンなどの高付加価値な商材を展開、②次に動物用の飼料として収益基盤を拡大、③最後に人間の食用コオロギとしてスケールアップする計画だ。炎上の教訓を経て、先に動物向けの医薬品で収益を確保していく考えだ。

渡邉氏は「リベンジしないと気が済まない」と述べ、再起への意欲を見せている。

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