東京都内に住む加藤肇さん(70歳)は、中学時代の同級生との雑談で意外な事実を知った。息子家族と同居し、共に年金暮らしであるにもかかわらず、支払っている介護保険料は自分が毎年5万円以上なのに対し、同級生は2万3700円と半分にも満たなかったのだ。
同じ生活状況でありながら、なぜ介護保険料の負担額が2倍も違うのか。社会保険労務士の井戸美枝氏は「社会保険の低所得者を決める基準は、市町村民税の課税基準が多く、世帯単位で考えられているからです」と解説する。
世帯単位の保険料算定が原因
井戸氏によれば、介護保険や国民健康保険などの社会保険料は、世帯主の所得などの条件によって決まるのが基本だ。また、世帯全員の所得が非課税所得以下であれば保険料が安くなる規定もある。このため、高齢者で年金以外に所得がない人の世帯は、保険料が安くなる可能性が高いという。
加藤さんの場合、息子家族と同居していることで世帯全体の所得が高く見なされ、保険料が高くなっている可能性がある。一方、同級生は単身または夫婦のみの世帯で、所得が低いと判定されたため保険料が安くなったと考えられる。
世帯分離で保険料軽減の可能性
このような場合、高齢者が子世帯と「世帯分離」をすることで、保険料が軽減されるケースがある。世帯分離とは、同じ住所に住んでいても、住民票上で別世帯として扱う手続きだ。これにより、高齢者自身の所得のみで保険料が計算されるため、低所得者向けの軽減措置を受けやすくなる。
ただし、世帯分離には注意点もある。国民健康保険や介護保険の保険料は軽減される可能性があるが、住民税や年金の扶養など他の制度に影響が出ることもある。事前に市区町村の窓口や社会保険労務士に相談することが推奨される。
加藤さんのケースは、同じ年金生活でも世帯構成によって社会保険料に大きな差が生じることを示している。制度を理解し、適切な手続きを取ることで、負担を軽減できる可能性がある。



