キャッシュレス決済が普及した現代、ポイントが付かない買い物のほうが珍しいほど、ポイ活(ポイント活動)は私たちの生活に深く浸透している。「今日はポイント10倍の日だからまとめ買いをしよう」「今月は1,000ポイント貯まった」など、ポイ活に力を入れて達成感を得ている人も多いだろう。
しかし、少し立ち止まって考えてみてほしい。本当にそのポイ活は得をしているのだろうか。実は、ポイントを貯めようとするあまり、無駄な買い物をしていたり、支出がかえって膨らんだりしているケースもある。今回は、ポイ活によって家計を悪化させてしまう「ポイ活貧乏」になりやすい人の特徴と、そうならないためのポイントをファイナンシャルプランナー(FP)の視点から解説する。
ポイントは「値引き」であって「収入」ではない
まず知っておきたいのは、ポイントは「収入」ではなく、「値引き」であるということだ。ポイントが貯まると、「100ポイント得した」「1,000ポイント稼いだ」と感じる人もいる。しかし、ポイントがお金を生み出しているわけではない。
たとえば、1万円の買い物で1%還元なら100ポイントが付く。これは100円をもらったのではなく、次回以降の買い物で100円分の値引きを受けられる権利を得たにすぎない。ポイントは使って初めて100円分の価値になる。反対に、有効期限切れで失効してしまえば、その価値はゼロになる。
そのため、ポイ活は「貯める」と「使う」の両方を意識する必要がある。この点が、その場で値引きされるスーパーの割引とは異なる。そして、基本的にポイントは買い物をしなければ貯まらない。そのため、多くのポイントを獲得しているということは、それだけ多くの支出をしている可能性がある。だからこそ、「ポイントを貯めること」が目的になると、不要な買い物が増え、「ポイ活貧乏」につながっていく。
ポイントはあくまでも「支出を少し減らす仕組み」であり、「収入」ではない。この基本を理解しておくことが、「ポイ活貧乏」にならないための第一歩になる。
「ポイ活貧乏」になる人の5つの特徴
ポイ活貧乏になる人の特徴を5つ紹介する。
特徴1:ポイントを貯めるために買い物をする
本来、ポイントは必要な買い物をした結果として貯まるものだ。しかし、「ポイントを貯めること」自体が目的になってしまうと、不要な買い物が増え、家計を圧迫する原因になる。「今ならポイント2倍」「まとめ買いでさらに10%還元」「期間限定ポイントアップセール」といった言葉に惹かれ、今必要ではないものまで買ってしまう人は要注意だ。
「ポイントが付かなかったとしても、この商品を買うだろうか」と一度立ち止まって考える習慣をつけると、無駄な買い物を防ぐことができる。
特徴2:ポイント還元率で商品を選ぶ
同じ商品でも、店舗によって価格やポイント還元率が異なることはよくある。たとえば、A店(5,000円、ポイント付与なし)とB店(5,400円、ポイント還元率10%)の場合、B店は540ポイント還元され、実質4,860円で買えるためお得に感じる。しかし、その540ポイントを使う機会がなければ、結局5,400円支払っただけになる。また、ポイントを使うために予定になかった買い物をしてしまえば、無駄な支出につながる。ポイントはあくまでも将来値引きを受ける権利であり、現金そのものではないことを忘れないようにしよう。
特徴3:たくさんのポイントを集めすぎる
現在は、PayPayポイント、楽天ポイント、Vポイント、Pontaポイント、dポイントなど、さまざまなポイントサービスがある。とりあえずポイントが付くものはすべて貯めているという人は多いだろう。しかし、種類が増えるほど管理が難しくなり、有効期限切れで失効したり、ポイントが分散して思うように使えなかったりする。労力のわりにポイントが貯まらないという意味での「ポイ活貧乏」になってしまう。ポイントはある程度絞って貯めたほうが管理しやすく、結果的に無駄なく使える。
野村総合研究所(NRI)の「決済・ポイント実態調査」(2025年12月)によると、日常的に利用しているポイントの上位は、PayPayポイント、楽天ポイント、dポイント、Vポイント、Pontaポイントなどとなっている。
特徴4:コツコツ系のポイ活に時間をかけすぎる
ポイントサイトでアンケートや広告視聴など、空き時間を使ってポイントを貯めている人も多い。こうした買い物をしなくてもポイントが貯まるサービスは、無駄使いにつながらないので一見よいように思うが、多くのケースでは、一日やっても数十円から数百円程度にしかならない。一方、その時間を資格取得や副業の勉強にあてれば、将来的に月数千円から数万円の収入アップにつながる可能性がある。時間の価値を考えると、目先の数十円を追いかけるよりも、長期的に収入を増やすための自己投資に時間を使ったほうが、結果的に家計改善につながるケースは少なくないだろう。
特徴5:ポイ活の達人のマネをして無理をする
SNSでは、「年間500万ポイント貯めた」「ポイントだけでハワイ旅行に行った」など、「ポイ活の達人」の情報を目にすることがある。もちろん、お得な貯め方など参考になる情報もある。しかし、そのやり方をそのまま真似しようとすると、クレジットカードを何枚も作ったり、利用するサービスを統一したりと、自分のライフスタイルに無理が生じることもある。こうした発信をしている人は、ポイ活に多くの時間と労力をかけている。いわば「ポイ活の達人」という仕事をしているといってもいいかもしれない。大切なのは、自分の生活に合った範囲で無理なく続けることだ。ポイントを貯めることが目的になり、支出や手間が増えてしまっては本末転倒といえるだろう。
ポイ活は仕組み化して「生活は変えない」
それでは、「ポイ活貧乏」にならないためにはどうしたらいいのか、FPの立場からアドバイスする。ポイントを貯めるために生活や買い物の習慣を変えるのではなく、普段の生活の中で自然にポイントが貯まる仕組みを作ることが大切だ。
たとえば、次のような方法がある。
- 必要な買い物でポイント還元を受ける
- 固定費をクレジットカード払いにしてポイントを貯める
- 日常使いのクレジットカードは還元率の高いものを選ぶ
- よく利用するサービスのポイントに集約する
- あまり使わないサービスのポイントは貯めない
どれも基本的なことだが、最初は意識してやる必要がある。生活水準は変えず、支払い方法を工夫するだけでポイントが貯まる状態を作れれば、それが理想的なポイ活だ。一度仕組みを作ってしまえば、あとは無理をしなくても自然にポイントが貯まっていく。また、貯めるだけでなく、ポイントを支払いに自動充当するなど、使い切る仕組みも整えておくとさらに効率的だ。
たとえば、毎月の生活費が30万円で、その3分の2を1%還元のクレジットカードで支払った場合、1カ月で2,000ポイント、1年間では2万4,000ポイントが貯まる。このように、特別なキャンペーンを追いかけたり、不要な買い物をしたりしなくても、普段どおりに生活するだけでもこれだけのポイントが貯まる。
ポイ活は頑張るものではなく、仕組みで続けるものだ。それが、ポイ活に振り回されずに無理なく続けられるコツである。
(石倉博子:ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者))



