AIを導入しても成果を出す人と、すぐに使わなくなる人がいる。その差は、ITスキルやAIの知識ではない。本記事では『AIで終わる人 AIで化ける人』(中平健太/ダイヤモンド社)から抜粋し、1000社・3000人以上の現場を見てきた著者がたどり着いた、「AI時代に飛躍する人」の共通点を紹介する。
14回の失敗を経て見えた「AIとの出会いの瞬間」
著者の中平健太氏は、株式会社ガラパゴスの代表。これまで14回、事業に失敗してきた。ガラケーサイトの制作やスマートフォンアプリプラットフォームの開発など、何度も挑戦してはうまくいかなかった。そんな中、ようやくたどり着いた事業がAI技術を活用した広告デザインサービス「AIR Design」だ。のべ1000社、3000名を超えるビジネスパーソンの「AIとの出会いの瞬間」を間近で見てきた。
その現場で、中平氏はある奇妙なことに気づいた。同じAIツールを、同じタイミングで導入しているのに、「化ける人」と「終わる人」がはっきり分かれるのだ。
「化ける人」と「終わる人」の決定的な差
化ける人は、AIを手にした途端、まるで別人のように加速する。これまで3日かかっていた仕事を半日で終わらせるだけでなく、今までやろうとも思わなかった仕事にまで手を伸ばし始める。仕事の質も量も、目に見えて変わる。
一方、終わる人は、AIを導入しても何も変わらない。「使ってみたけど、微妙だった」「結局、自分でやった方が早い」と言って、数週間後には元のやり方に戻ってしまう。
最初、中平氏はこの差を「ITリテラシーの違い」だと思っていた。しかし、1000社以上の現場を見てきた今、断言する。「それは違います」と。
AIに詳しいはずのエンジニアが、まったく使いこなせていないケースを何度も見た。逆に、「パソコンは苦手で」と苦笑いしていた営業部長が、AIを使って部署の成績をひっくり返した例も見た。この差を生んでいるのは、知識でも技術でもない。その人の「考え方」だ。
「仕事とはこういうものだ」という思考の癖がAI活用を左右する
より正確に言えば、「仕事とはこういうものだ」という、長年かけて脳に染みついた思考の癖。これが、AIを味方にできるかどうかを決定的に分けていた。
たとえば、AIR Designを導入したある企業で、2人のマーケターがいた。Aさんは20年のキャリアを持つベテラン。「自分の経験で十分やれる」と自負しており、AIが出してきた案を見ても「こんなの使えない」と一蹴。結局、自分の頭の中にある過去の成功パターンだけで広告を作り続けた。
Bさんは入社5年目の中堅。正直、広告の知識ではAさんに遠く及ばない。しかし彼は、AIが出した50案の中から「自分では絶対に思いつかなかった切り口」を見つけ、それをたたき台にして磨き上げた。自分の足りない部分を、堂々とAIに補ってもらったのだ。
結果、Bさんの広告はAさんのそれを大きく上回る成果を出した。Aさんに足りなかったのはスキルではない。「自分の頭の外に正解があるかもしれない」と思えるかどうか。たったそれだけの違いだった。
AI時代に飛躍する人の共通点
自分の経験だけを頼りに答えを出そうとする人は、AIをうまく使えない。失敗を恐れて完璧な準備をしてから動こうとする人は、AIの恩恵を受けられない。すべてを自分でコントロールしようとする人は、AIとの協働がうまくいかない。
逆に、自分の考えに固執せず他者やAIの力を借りられる人。未完成でもまず動き出せる人。仲間を巻き込み、失敗を共有できる人。こうした人たちは、AIを手にした瞬間、面白いように飛躍していく。
つまり、AIを使いこなすために最も必要なのは、新しい技術を学ぶことではなく、古い考え方を手放すことなのだ。『AIで終わる人 AIで化ける人 「AIが当たり前」の時代を生き抜く20の思考変革』(中平健太/ダイヤモンド社)では、IT知識は関係なく、自分を爆発的に進化させる考え方を紹介している。



