アニメ海外売上2.2兆円、コンテンツ全体6兆円で鉄鋼上回る 日本が手にした「限界費用かからない輸出品」
アニメ海外売上2.2兆円、コンテンツ全体6兆円で鉄鋼上回る 日本が手にした「限界費用かからない輸出品」

かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれた日本は、自動車や機械といった有形物を輸出の柱としてきた。トヨタ自動車が長らく「日本最大の企業」であり続けるのは、その象徴だ。しかし、いま変革が起きている。形のない「IP」が輸出の主役候補に浮上しているのだ。

コンテンツ海外売上は6兆円超え

ヒューマンメディア(東京都港区)の調査によると、日本のコンテンツ7分野(映像、TV番組、アニメ、ゲーム、家庭用ゲーム2分野、スマホ/PCゲーム)の2024年海外売上規模は、2023年から約4%拡大し、合計で6兆円を超えた。そのうちアニメは約2.2兆円と前年比26%増の大幅な伸びを示し、全体の拡大を支えた。

2025年に品川で開催された人気キャラクター「ちいかわ」のイベント「CHIIKAWA DAYS」は、IPビジネスの活況を象徴する例だ。

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鉄鋼輸出との逆転

6兆円という規模を把握するには、鉄鋼輸出との比較が有用だ。日本鉄鋼連盟の集計(PDF)によれば、2024年の鉄鋼輸出額(全鉄鋼ベース)は4兆7402億円で前年比2.1%減、2025年は3兆9299億円で前年比10.5%減と、3年連続で減少している。

同じ2024年で比べると、コンテンツの海外売上は約6兆円、鉄鋼は4兆7402億円。すでにコンテンツが1.3倍の開きをつけている。日本の輸出品目で、無形物のIPが存在感を増しているのが分かる。

国策レベルに高まったIP戦略

この変化は国策にも反映されている。経済産業省は「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」を策定し、コンテンツ産業の海外売上を20兆円へ拡大するための5カ年アクションプランを公表。2033年までに約3倍という目標を掲げた。かつて「サブカルチャー」とひとくくりにされていた領域が、自動車産業に並ぶ扱いを受けるまでになった。

アニメ産業も過去最高を更新

業界統計にも追い風は表れている。日本動画協会の「アニメ産業レポート2025」によると、2024年のアニメ産業市場の規模は3兆8407億円で前年比14.8%増となり、過去最高を更新した。海外市場は2兆円を突破し、前年比126%(26%増)と成長をけん引。国内市場の伸び率が102.8%と低調だったのに対し、海外市場が全体を押し上げた。

「限界費用のかからない輸出品」

なぜ、これほど身軽に海を渡れるのか。輸出する品が「モノ」ではなく「権利」だからだ。鉄を輸出するには高炉を建て、原材料や鉄鉱石を調達し、船に積む物流と関税がかかる。自動車も工場、港、船、現地の販売網が必要だ。

一方、アニメやキャラクターは配信サービスに載せ、ライセンス契約を結ぶだけで国境を越えられる。一度作った作品は100カ国で流しても追加コストはほぼ発生しない。グッズ展開でも、相手国側に生産拠点があれば、IPを持つ企業は在庫や発送、運送費、関税をほぼ気にする必要がない。

鉄は運ばなければ売れないが、権利は運ばずに売れる。海外市場の規模が26%増という伸びも、この身軽さの直接的な結果だ。コンテンツは、日本が手にした「限界費用のかからない輸出品」なのである。

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