山梨「天空のマチュピチュ」コモアしおつ:35年経ても美しい街であり続ける理由
山梨「天空のマチュピチュ」コモアしおつ:美しい街であり続ける理由

山梨県の山々に囲まれた標高約700メートルの高台に広がる住宅地「コモアしおつ」は、開発から35年が経過した今も、その美しい景観で知られる。通称「天空のマチュピチュ」とも呼ばれるこの街は、どのようにして長年にわたり魅力を保ち続けているのだろうか。

総2階建て住宅が生む意外な景観

街を歩くと、多くの住宅が目に入る。広大な住宅地と聞くと、同じような住宅が続く単調な風景を想像するかもしれない。しかし、コモアしおつの街並みは決して単調ではない。その理由を、開発に携わった松田さんに聞くと、意外な答えが返ってきた。

「住宅は総2階を基本に作っています。総2階というと単調でつまらないと思われるかもしれませんが、道路が曲線を描いているため表情が変わり、変化に富んだ街並みになるんです。そういうことも踏まえて建物を計画しました」

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総2階とは、1階と2階の外周がほぼ揃った住宅のこと。構造や施工面では合理的だが、外観は単調になりがちだ。しかしコモアしおつでは、曲線の道路や豊かな緑と組み合わさることで、街並みに変化が生まれている。

屋根と区画の工夫がもたらす一体感

屋根を見上げると、周囲の山並みを背景に勾配屋根が連なっている。小学校やコモア・ブリッジの建物にも傾斜が用いられ、街全体にさりげない一体感が漂う。宅地の形にも工夫が凝らされている。道路が敷地の南側にある「南入り宅地」と北側にある「北入り宅地」では、日当たりや玄関周りの印象が変わる。そこで、南入り宅地は明るい前庭を生かせるよう東西に広く取り、北入り宅地は南北方向に奥行きを持たせ、敷地の奥まで日差しが届くように計画された。外壁を道路から後退させ、植栽を入れる余白も確保している。同じ区画を機械的に並べるのではなく、敷地条件に応じて配置する。そんな工夫も景観に変化をもたらしている。

緑豊かな風景の秘密

通りに目を向けると、庭木や花、外構の連なりも街並みを作っている。緑豊かな風景は、年月を経て植物が育っただけでなく、販売時から植栽や外構まで作り込んだからこそ、今に生きている。松田さんは言う。「山を崩した分譲地で、一度自然を壊してしまった。だから、その自然を再生しなくちゃいけない、という気持ちがあったのだと思います。ですから、植栽や外構にしても、作り込みはしっかりとしているんです。それがそのまま引き継がれて、現在の緑あふれる住宅地になっています」

住宅は敷地約70坪、建物約45坪の4LDKを基本に計画された。総2階を成立させるため、2階には子ども部屋に加えて書斎や物置なども設けられ、駐車場も2台分を確保した。都心部の住宅では得にくいゆとりが、住まいの内外に備わっている。

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