フジ・メディア・ホールディングス(FMH)とフジテレビジョンの株主総会が25日、東京・台場のフジテレビ本社で開催され、新たな役員人事が正式に承認された。注目を集めたのは、フジテレビの代表取締役専務執行役員、チーフ・コンテンツ・オフィサー(CCO)、スタジオ戦略本部担当に新任された石原隆氏である。石原氏は、フジテレビの黄金期を支えたヒットメーカーの一人として知られ、『世にも奇妙な物語』『古畑任三郎』『王様のレストラン』『やまとなでしこ』『HERO』など数多くの名作ドラマを手掛けてきた。今回、フジテレビ史上初となるCCOというポジションに就任し、新体制の中核を担うこととなった。清水賢治社長が取材に応じ、石原氏に託した期待と新たなコンテンツ戦略の方向性について詳細を語った。
コンテンツ企画の総責任者としての役割
清水社長は、新任取締役への期待について問われると、5月に発表したグループビジョンを踏まえ、「IPコンテンツをどうやって伸ばしていくのか」が新体制の最大のテーマであると説明した。その中でも石原氏については、「プロデューサーとしても数多くの名作を出している」と評価し、CCOとしてコンテンツ企画の総責任者を担ってもらう考えを示した。清水氏が強調したのは、石原氏の役割が単にテレビ番組の企画立案に留まらない点である。グループビジョンでは、IPコンテンツを「あらゆるメディア」「あらゆる出口」に展開していく方針が掲げられており、清水氏は石原氏に対し、地上波テレビの枠を超えた「大きな企画」「斬新な企画」「先鋭的な企画」に挑戦することを期待していると述べた。
ハード・ソフト分離とCCOの象徴的意義
フジテレビは今後、放送インフラ機能とソフト制作・コンテンツ戦略機能を切り分ける「ハード・ソフト分離」を推進し、フジテレビをソフトコンテンツの統括戦略会社として位置づける構想を掲げている。石原氏のCCO就任は、この方向性を象徴する人事であり、コンテンツ制作の司令塔としての役割が期待される。清水社長は、石原氏の能力について「単にクリエイティビティが高いというだけではない」と評し、特に企画の立て方に「極めて再現性」がある点を挙げた。名作の構造や同種のプロットを理論的に捉えた上で、それをどう成立させるかを考えられる人物だと説明。一方で、理論だけに偏らず、感性も兼ね備えていることが強みであり、企画を見る目についても「単なる感覚だけで見ない」と述べた。
理論と感性のバランスが生む強み
石原氏は、清水社長の1期後輩としてフジテレビに入社し、ともに編成部で『世にも奇妙な物語』の前身にあたる深夜番組『奇妙な出来事』などの企画を手掛けた経緯がある。清水社長は、石原氏の企画力について、理論的な分析力と感性的な創造性のバランスが取れている点を高く評価。今後のフジテレビは「放送枠から考えるのではなく、まずはコンテンツの可能性で考える」段階に入るとし、その際に企画の面白さだけでなく、どこでどう展開し、どのように投資回収していくのかという視点が不可欠だと指摘した。清水社長は、石原氏なら投資効率も含めて理論的に考えられるとし、その点を評価する理由として挙げている。
新執行役員体制の全容
株主総会で承認された新執行役員体制は7月17日付で発足する。社長執行役員には清水賢治氏がコンテンツ戦略本部担当として留任。専務執行役員には石原隆氏がCCO兼スタジオ戦略本部担当として新任。常務執行役員には若生伸子氏(コンテンツ戦略本部、営業担当)と大野貢氏(コーポレート本部、番組審議室担当)が就く。執行役員には、ネットワーク・メディア戦略担当の山根法久氏、デジタル戦略統括室・テックアートデザイン担当の小川栄治氏、IP・アニメ事業担当の松崎容子氏、イベント事業・ライブエンタテインメントビジネス開発担当の鈴木吉弘氏、第1~第3スタジオ・制作推進担当の大辻健一郎氏、報道担当・報道局長の川野友裕氏(新任)、総務・人事・アナウンス担当の片山真由美氏(新任)、社長室・スポーツ・リスク管理・企業広報・サステナビリティ経営推進担当の現王園佳正氏(新任)、コンテンツ投資戦略・マーケティング・プラットフォーム事業・コンテンツプロモーション担当の渋谷謙太郎氏(新任)、経営企画担当の小林弘明氏(新任)、法務統括・コンプライアンス推進担当の青山美保氏(新任)、財経担当・財経局長の後藤剛氏(新任)がそれぞれ就任する。一方、友岡新氏、塚越裕爾氏、樋口薫子氏、武内賢氏、柳淳史氏、飯島晶子氏の6名が退任する。



