経済産業省は6月29日、コンテンツ産業向け補助金「IP360」を通じて、ディー・エヌ・エー(DeNA)など大企業に最大15億円単位の資金助成を行う件について、「大企業への利益供与ではないか」との批判がXで相次いでいることを受け、コメントを発表した。
経産省「投資促進策であり利益供与ではない」
経産省によると、この施策は「資金供与ではなく、約1000億円の民間投資を促進し、約4000億円の海外売上を目指す投資促進策」だと説明。「資金余力ある企業でも、高リスク案件では投資を抑制しがち」と助成の必要性を述べ、「計画倒れとならないよう、進捗確認やKPI管理を徹底する」としている。
IP360とは何か
IP360は、「日本発コンテンツの海外売上を2033年までに20兆円に拡大する」という政策目標の下、総額約350億円の予算で全9メニューを展開する助成策。個人・ベンチャーを対象としたものから、実績豊富な大企業向けまで、9つのメニューがある。
議論の焦点は「大規模作品制作助成」
議論になっているのは、ゲーム・アニメ・実写を対象に、大規模なプロジェクトで成功事例がある企業を対象とした「大規模作品制作助成」(1社あたり上限15億円)だ。DeNAなどが採択されたが、その報道に対し「キャッシュリッチな企業に税金を投じる必要はないのでは」など批判が集まった。
採択企業一覧
このメニューの採択企業はDeNAだけではない。ゲーム企業では、コーエーテクモゲームス(新作ゲーム「FUJI(仮)」の開発)、コナミデジタルエンタテインメント(新規コンソールゲームプロジェクト)、スクウェア・エニックス(新規ゲーム開発)、セガ(新規ゲーム開発)などが採択されている。
アニメ関連企業ではアニプレックス(持続可能な制作体制プロジェクト)、トリガー(新規オリジナル個性作品)などが、実写ではTOHOスタジオ(実写映画の制作)など、名だたる企業が多数、助成対象に含まれている。
経産省の説明:高リスク投資を促進
経産省によると「大規模作品制作助成」は、「約1000億円の民間投資を促進し、約4000億円の海外売上を目指す投資促進策」であり、「利益供与が目的ではない」という。
キャッシュを豊富に持つDeNAへの助成が疑問視されたが、「資金余力のある企業でも高リスク案件では投資を抑制しがちなため、補助により追加投資と構造改革を促す」と解説。採択は「利害関係のない第三者の審査委員会」が実施したという。
過去の類似補助金の効果
過去の類似補助金では、小規模から大規模まで幅広い作品を助成した結果、大規模作品への助成が成功し、平均して1億円の財政支援が売上20億円の増加に寄与したとも述べ、大規模作品は「助成効果が高い可能性がある」として後押しする方針だ。
関連記事:MIXI社長の発言
関連記事では、DeNAのスマホゲームに国が15億円助成との報道に対し、MIXI社長が「たかだか15億、こんなちょっとの資金を出したところで、他国がぶち込んでるコンテンツ国家予算からしたらゼロみたいなもん」「税金をどうのって国民が足を引っ張ってたら何も始まらない」と発言した。
日本産コンテンツの海外被害額
経済産業省が、ゲームや映像、音楽といった日本産デジタルコンテンツについて、海賊版による2025年の被害額が5兆7000億円に上るとの調査結果を発表した。22年の前回調査(2兆円)の3倍近くで、今回から新たに調査対象としたキャラクターグッズの海賊版を含めると、被害総額は10兆4000億円に上る。



