造船系学科の新設・拡充が相次ぐ、地元企業の期待と政府目標が背景
造船系学科の新設・拡充、地元企業と政府目標が背景

造船の拠点がある地域の大学で、造船系学科の新設や拡充の動きが相次いでいる。背景には、地元企業を中心に、AI(人工知能)やロボットなど製造現場で高度化する技術に対応できる人材育成への要望がある。政府も新造船の国内建造量を増やす目標を掲げており、人材確保に向けた産学連携の取り組みが広がりそうだ。

愛媛大に「海事産業特別コース」

愛媛大(松山市)は4月、工学部に「海事産業特別コース」を設けた。愛媛県今治市で造船を手がける新来島どっくが1000万円を寄付して開設を後押しするなど、地元企業の期待も高い。1、2年生はもの作りの基礎を、3年生以降は昨年10月に開設した今治市のサテライトキャンパスで船舶の専門知識を学ぶ。実習やAIを動かすためのプログラミングを習得する授業もある。

2027年度には大学院にも新たな教育プログラムを設け、全国から学生や企業の技術者らを受け入れる予定だ。今治サテライト長の松下正史教授は「国内最大の海事都市である今治で、第一線で活躍する技術者にも先生役を務めてもらうことで、学生はより業界の理解を深められる」と説明する。

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長崎総合科学大も拡充

造船系学科を拡充する動きは他大学にも広がる。私立の長崎総合科学大(長崎市)は、27年度に工学部などを再編して新設する「先端工学部」内に「グリーン船舶システム学科」を置く。水素燃料船など最新の脱炭素技術が学べる。入学定員は50人で、現在の船舶工学コースから約3倍に増やす。今後は、今治造船や佐世保重工業など県内外の42の造船・海事関連企業・団体で構成する協議会を設け、共同研究や寄付講座などで連携する計画だ。

産学連携の背景

産学が連携して教育の充実を図る背景には、熟練の技術者の高齢化に伴う業界の人材不足がある。自動運航船の実用化や造船所のデジタル化に向けた研究開発が進み、最新の知識が求められていることも大きい。

高市政権が「造船業の再生」を打ち出し、35年の国内建造量を24年比で2倍に増やす目標を掲げたことも、急務となっている人材確保への対応に拍車をかけている。

造船学科の新設や拡充に取り組む大学は今後、企業との連携も強化し、インターンシップや造船所の見学、学生と卒業生の対話の機会などを設ける方針だ。大阪公立大の中谷直樹教授(船舶海洋工学)は「政府が成長戦略に造船を盛り込み、学生の関心が高まっている今こそ、すそ野を広げる取り組みが必要だ」と話す。

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