自民党の情報通信戦略調査会は9日、東京都内の党本部で会合を開き、テレビ局など放送事業者の経営の在り方について議論した。会合では、国内上場企業の収益性評価指標として定着しつつある「自己資本利益率(ROE)8%」が放送事業者にも求められている現状を踏まえ、資本政策の在り方について総務省に検討を要請する方針を決めた。
放送事業者のROE低迷の実態
会合では、東京証券取引所の担当者から日本企業全体の収益性が海外に比べて低いことが説明された。特に民放キー局5社の親会社はいずれも上場しているが、ROEはすべて8%を下回っている。放送インフラの維持・整備にコストがかさむことや、若年層のテレビ離れが進行していることが、ROE低迷の主な要因として指摘されている。
調査会の大岡敏孝事務局長は「放送事業者は(報道などの)公益性を守ることが大前提。その上で経営の合理化を考えるべきだ」と述べ、収益性を過度に追求することに疑問を呈した。自民党内では、ROEが低いと投資家からの評価が下がり、株価下落や「物言う株主」による圧力が強まる懸念があるとの声が上がっている。
ROEの定義と現状の課題
ROEは最終利益を自己資本で割った数値で、株主から集めた資金をどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標だ。達成義務はないものの、一般的に8%が目安とされている。しかし、放送事業者は設備投資やコンテンツ制作費がかさむ上、視聴者離れによる広告収入減が収益を圧迫している。
調査会は、放送事業者が公益性を維持しながら持続可能な経営を行うためには、単純なROE目標の適用ではなく、業界の特性を考慮した資本政策が必要だと主張。総務省に対して、放送事業者の経営実態を踏まえた検討を求める方針だ。
今後の展望
自民党は今後、総務省と連携しながら、放送事業者の資本政策に関する具体的な指針作りを進める見通しだ。一方で、投資家からはROE改善を求める声も強く、業界の対応が注目される。



