サッカーワールドカップ(W杯)北中米大会の準々決勝で、28年ぶりに出場したノルウェーがイングランドに延長戦の末1-2で敗れ、ベスト4進出を逃した。大会最大のダークホースとして旋風を巻き起こしたノルウェーだったが、エースのアーリング・ハーランドが疲労で交代を余儀なくされ、反撃力を欠いたまま敗退が決まった。
ハーランド、疲労で交代
延長戦開始前、ノルウェーの円陣にハーランドの姿はなかった。90分を1-1で終えてベンチに戻ると、座ったままトレーナーに足をほぐされていた。試合後、ソルバッケン監督は「完全に疲れ切っていた。もう10分早く交代させるべきだった」と明かした。延長に入ってもハーランドは腰に手を当て、歩く場面が目立ち、延長前半3分に逆転を許すと、後半開始からベンチに下がった。エースを欠いたノルウェーに、反撃する力は残っていなかった。
育成改革の成果と課題
ノルウェーは今大会、決勝トーナメント2回戦でブラジルを破り、初の8強入りを果たす快進撃を見せた。しかし、6試合で無失点は一度もなく、守備面に課題を残した。ノルウェーサッカー協会で育成を統括するホーコン・グロットランドさんは、1990年代に世界ランキング2位になった当時を振り返り、「体が強く、守備のできる選手がたくさんいた」と語る。当時はロングボールを軸とした縦に速いサッカーが持ち味だったが、創造性のある選手が育たず低迷。「退屈なサッカーだ」と批判を浴び、育成方針を転換した。「フィジカル重視から、バルセロナのようなパスサッカーができる技術を取り入れてきた」とグロットランドさん。その成果が、攻撃面でチームを引っ張ったハーランドや主将のマルティン・エデゴールといった選手たちだ。一方で、「昔とは逆に、守備的な選手が手薄になった」と大会前に明かしていた。
選手たちの誇りと一体感
それでも、選手たちに後悔はない。エデゴールは「夢のような時間だった。W杯はすごい場所だと思っていたが、その想像をはるかに超えていた」と語る。5試合で7得点のハーランドも「人生で最高の体験だった。ノルウェーという国を世界に示すことができた」と胸を張った。勝利した試合後に選手とサポーターが一緒に太鼓の音に合わせて舟をこぐポーズ「バイキング・ロー」は大会を象徴する光景となった。国の誇りと一体感にあふれたW杯だった。



