茨城空港(茨城県小美玉市)の隣接地で、エアロトヨタ(東京都)がヘリコプター整備事業拠点の建設を進めている。総事業費は約50億円で、来年4月の操業に合わせて現拠点の埼玉県川越市から従業員約60人が移る予定だ。地元の小美玉市は「地域振興につながる」と歓迎している。
台風被災が移転の契機に
同社は、ヘリの整備拠点だった「川越メンテナンスセンター」が2019年に台風による水害で被災したことを受け、移転先を探していた。空港西側の隣接地にあった県有地(敷地面積2万8千平方メートル)を小美玉市が買い取り、2025年6月に同社と30年間の賃貸借契約を結んだ。
新拠点の概要と拡張内容
新しい整備拠点は、ヘリの定期点検や修理、特殊装備の取り付けなどを担う。鉄骨3階建ての格納庫のほか、ヘリポート1カ所を備える。新しい格納庫は、現拠点(川越市)の約2600平方メートルから1.5倍(約4000平方メートル)に拡張される。これまでは一度に格納できるのは約10機で、点検・修理の依頼をすべて受けられなかったが、新拠点では14機の作業を一度にできるようになる。
従業員の移転と地域への期待
4月に移る60人を含め、現拠点で働く約150人は順次、茨城へ移る計画だ。多くが転居を伴うため、来春から茨城で働く従業員に対して、引っ越し先を探すための見学会も実施した。小美玉市は関連産業の集積や地域経済への波及効果を期待する。市商工観光課の近藤剛課長補佐は「人口4万6千人の小美玉市にとって、150人規模の現役世代が転入すれば影響は非常に大きい。地域経済の活性化につながる」と話す。
会社の沿革と今後の計画
エアロトヨタは1955年創業の「朝日航空」が母体。その後「朝日航洋」などと社名を変え、ヘリコプター運航や航空測量を主力事業としてきた。1997年にトヨタ自動車の傘下に入り、2025年7月に現社名へと変更した。エアロトヨタ航空事業本部の小沢洋・新拠点準備室長は「世界トップレベルの整備工場をめざすとともに、地域とのつながりも深め、『茨城発』の航空産業の成長に貢献したい」と語った。新工場完成後は、格納庫での小中学生向け社会科見学なども実施する計画だという。



