月500万円の赤字から年商6.8億円へ!倒産寸前の町工場がV字回復した秘密
月500万円赤字の町工場が年商6.8億円にV字回復

かつて月500万円の赤字を抱え、倒産寸前だった大阪府大東市の町工場・藤田金属が、鉄製フライパンの復活と半OEMモデルへの転換でV字回復を遂げた。年商は約6.8億円に成長し、製品は世界22カ国で愛されるブランドへと変貌を遂げている。

「1日の注文がフライパン1枚だけ」の時代

「当時は、1日の注文がフライパン1枚だけの日も。する事がないから、丸一日、工場の掃除をしている時もありました。社員の給料を払うのもお金をかき集めて、売掛金が入ってこなければ払えないような状態でした」と、藤田金属の代表取締役社長・藤田誠一氏は振り返る。

1951年創業の藤田金属は、フライパンをはじめとする金属製品を手掛ける町工場。かつては月500万円の赤字を抱える厳しい時代があった。年間わずか4733個しか売れていなかった同社の鉄フライパンは、ある出来事をきっかけに「バカ売れ」。2025年には年間28万217個を販売するまでに大きく成長した。

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転機は「鉄のフライパンを作ってほしい」という依頼

転機は、通信事業者から「鉄のフライパンを作ってほしい」と依頼が入ったことだった。同社は過去に鉄フライパンを扱っていたが、フッ素コーティングフライパンの台頭により一旦販売を終了。約35年間、鉄製調理器具は製造していなかった。

「売れる商品を作っても、半年後には模倣品がより安い価格で出てくる。このままの事業だけをやっていたら確実に倒れる、という状態でした。2010年代は毎月赤字で、従業員の給与を払うためにお金をかき集めるような、切実な苦しさがありました」と藤田社長は語る。

仕事がない日は丸一日掃除をし、機械のペンキを塗り直す日々。従業員数は8人に減っていた。

鉄製調理器具の製造を復活させ、売り先と製品そのものの方向転換を決意。その後、同社はカスタマイズフライパン「フライパン物語」を立ち上げる。素材、サイズ、持ち手、色などを自由に選べる仕組みはBtoCで話題となった。当時、世の中で鉄製調理器具が再注目される流れも追い風となった。

「BtoB向けのオリジナルフライパン」という新たなビジネスモデル

しかし、量産に慣れた現場では1個ずつ作るのは困難で、注文が殺到し、現場がパンクする危機に直面。そこで藤田社長が打った次の一手が「BtoB向けのオリジナルフライパン」(半OEM)への舵切りだった。

同社の半OEMというビジネスモデルは、他社や個人のオリジナル商品を小ロットから受託製造する仕組み。個別の依頼に応じて製造するため、不当な値切り競争が発生せず、適正な価格と高い利益率を確保したまま自社のラインを効率よく稼働させられる。

半OEMを開始したところ、テレビショッピングでの1万セット受注を皮切りに、大手食品メーカーの景品、YouTuberやインフルエンサーのオリジナルグッズとしての依頼などが集まった。

売上高は6億7000万~6億8000万円規模へと拡大し、製品は世界的なデザイン賞である「Red Dot Award 2021」「iF design award 2021」をはじめとする国内外のさまざまな賞を受賞。今や世界22カ国で愛されるブランドを確立している。

藤田金属のV字回復は、単なるヒット商品の出現によるものではない。商品力の見極めや、工場を通したブランド力の育成、テクノロジーを活用した「売って終わりにしない」仕組み化など、ヒットに頼らない経営戦略の結果だ。

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