ソニー、PS新作を2028年1月からダウンロード版のみに ディスク生産終了を発表、第1四半期は過去最高益
ソニー、PS新作ディスク生産を終了へ 2028年1月以降はDL版のみに

ソニーグループは、2026年7月1日、PlayStationコンソール向け新作ゲームにおけるディスク生産の終了を発表した。2028年1月以降に発売する新作ゲームは、ダウンロード版のみの提供となる。この方針は、2026年度第1四半期(4月~6月)連結業績の発表に合わせて説明された。プレイステーションユーザーの間では、大きな関心を集めている。

同社執行役CFOの陶琳氏は、終了まで1年半前というタイミングでアナウンスし、市場の理解を得る期間を用意したとの認識を示した。「最大の理由は、お客様の購買トレンドや、エンタテインメント業界全体が物理ディスクからデジタルへと移行しているという点である。これはプレイステーションだけの動きではない。様々なコンテンツのデジタル化が進んでいる。時間をかけ、慎重に検討を重ねた上で出した結論である」とコメントした。

ディスク廃止への反応と今後の対応

陶CFOは、ユーザーから様々な声が寄せられていることにも触れ、「ゲームは多くの人に愛されるエンタテインメントであり、それぞれの人々の思い出にもつながる。そうした気持ちを受け止め、デジタルのエコシステムのなかで、ユーザーや関係者との関わりを模索していきたい」と述べた。

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米国では、パッケージにコードを同梱して小売店で販売する手法を採用しているといい、「それぞれの地域のパートナーと会話をし、Win-Winになる事業モデルを模索する」と語った。その上で、「すでにコンテンツの大半がデジタルメディアとなっており、物理ディスクの終了によって、事業に対するネガティブな影響はないと見ている」と話した。

第1四半期決算は過去最高

2026年度第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比8.2%増の2兆8377億円、営業利益が同40.2%増の4764億円、税引前利益が同33.9%増の4774億円、当期純利益が同32.1%増の3421億円となった。売上高と営業利益は第1四半期として過去最高を更新している。

陶CFOは「G&NS、音楽、I&SS分野が、第1四半期として過去最高益を更新し、グループ全体で力強い成長を継続できた。不確実な事業環境のなかでも、各事業の利益創出力は、確実に向上している」と評価。2026年度は第5次中期経営計画の最終年度とし、「しっかりと実績を出せるように取り組んでいく」と意欲を見せた。

この結果を受け、通期業績見通しも上方修正した。売上高は2000億円増額の12兆5000億円(前年比0.2%増)、営業利益は1200億円増額の1兆7200億円(同18.8%増)、税引前利益は950億円増額の1兆7100億円(同20.2%増)、当期純利益は500億円増額の1兆2100億円(同17.4%増)。米国の関税還付としてグループ全体で約800億円を見込んでおり、その大半を営業利益の上方修正に充てるという。

セグメント別の状況

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)

売上高は前年並みの9371億円、営業利益は同37%増の2020億円、調整後OIBDAは同28%増の2281億円。次世代プラットフォーム向け投資や構造改革費用などのコスト増があったが、米国関税還付の影響などもあり大幅な増益となった。

2026年6月のプレイステーション全体の月間アクティブユーザー数は前年同月比2%増の1億2500万アカウントで、6月として過去最高となった。第1四半期の総プレイ時間は同4%減だったが、前年同期に主要タイトルのシーズンアップデートや新作のヒットがあったことを踏まえると「ユーザーエンゲージメントは堅調」という。年末に向けて大型タイトルが控えており、エンゲージメント指標の改善に期待を寄せた。

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PS5ハードウェア向けメモリについては、2026年度の販売予定台数に必要な分は確保済みで、ハードウェア損益が前年度並みになる計画に変更はない。第2四半期のPS5出荷台数は前年同期の250万台から大きく減少し、160万台となった。

スタジオビジネスでは、「MLB The Show」シリーズの新作や「Helldivers 2」(3年目)などのライブサービスが安定して貢献。「Marathon」は2026年7月のシーズン2リリースでリテンション率を維持しつつ新規ユーザーが増加。2026年4月発売の「SAROS」はMetacriticスコア88点を獲得し、ユーザーベースを拡大している。2026年8月に「MARVEL Tokon:Fighting Souls」、9月に「Marvel's Wolverine」、2027年2月に「God of War Laufey」を発売予定で、「これらのタイトルが業績を牽引することを期待している」とした。

G&NSの通期見通しは、売上高を1200億円増額の4兆5400億円(前年比3%減)、営業利益を600億円増額の6600億円(同43%増)、調整後OIBDAを650億円増額の7700億円(同7%増)に修正。主に為替の影響による増額としている。

音楽分野

売上高は前年同期比21%増の5620億円、営業利益は同14%増の1059億円、調整後OIBDAは同15%増の1344億円。ライブ興行収入の増加やストリーミング売上の伸び、為替が寄与し、営業利益は第1四半期として過去最高となった。

ストリーミング売上(ドルベース)は音楽制作が前年同期比10%増、音楽出版が同8%増。映画「Michael」のヒットでマイケル・ジャクソンの楽曲のストリーミング再生回数は公開前の4倍に増加し、Z世代の再生が大きく伸びた。エラ・ラングレーの最新アルバムがアルバムチャート1位を獲得し、リードシングルは女性アーティストとして歴代最長の首位記録を更新するなど、新たなヒットも生まれている。

通期見通しは、売上高を500億円増額の2兆1900億円(前年比3%増)、営業利益を200億円増額の4200億円(同6%減)、調整後OIBDAを300億円増額の5400億円(同6%増)に修正。Recognition Music Groupの連結子会社化が寄与する。

映画分野

売上高は前年同期比4%減の3151億円、営業利益は同33%増の248億円、調整後OIBDAは同23%増の385億円。Crunchyrollの増収があったものの、テレビ番組制作の納入作品数減少で減収。劇場公開のマーケティング費用が減り、増益となった。Crunchyrollの会員数は2026年3月末時点で2100万人超と、伸び続けている。

通期見通しは売上高を300億円増額の1兆6600億円(前年比11%増)、営業利益を50億円増額の1500億円(同42%増)、調整後OIBDAを50億円増額の2000億円(同8%増)とする。為替の影響が大きいとしている。7月31日に日米同時公開された「Spider-Man: Brand New Day」は代表的なフランチャイズのひとつで、ヒットに期待をかける。

また、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは、シェアードリアリティ技術を手がけるCosmへの戦略投資で体験型エンタテインメントを強化する。「没入感のある新たなコンテンツ体験を提供できるようになり、幅広いIPの価値拡大を図る」という。アニプレックスとKADOKAWAは共同で、2026年3月にアニメ映画配給会社アニメックを通じ、2026年5月から劇場版アニメの配給を開始。アニプレックス作品に加え、KADOKAWAの小説・ゲーム原作作品も配給する。

エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)

売上高は前年同期比2%増の5439億円、営業利益は同1%減の426億円、調整後OIBDAは同4%増の698億円。中国のイメージング市場は政府補助金の反動でマイナス成長が続いたが、その他の地域は安定。「α7 Ⅴ」「α7R Ⅵ」の販売が好調で、平均販売価格の底上げとフルフレームカメラ市場シェア拡大に貢献。ディスプレイ事業の「True RGBブラビア」も好評だ。

通期見通しは期初計画を据え置き、売上高2兆2500億円(前年並み)、営業利益1500億円(同5%減)、調整後OIBDA2600億円(同1%減)。メモリ価格高騰への対応として、調達・設計面のコスト削減や為替対応を含む価格戦略を進め、5月時点の利益水準を維持する見込み。メモリは年間需要の大半を確保済みで、第2四半期に全て確保できる見通しという。

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)

売上高は前年同期比26%増の5127億円、営業利益は同125%増の1222億円、調整後OIBDAは同57%増の1887億円。モバイルセンサーの単価上昇や為替が寄与し、営業利益は第1四半期として過去最高を更新した。スマートフォン市場は2四半期連続のマイナス成長だが、主要顧客を含むハイエンドメーカーが出荷台数とシェアを拡大。第1四半期のモバイル向けセンサー出荷は台数ベースで微増、金額ベースでは大きく伸びた。

通期見通しは売上高を400億円増額の2兆1100億円(前年比2%減)、営業利益を200億円増額の4200億円(同18%増)、調整後OIBDAを250億円増額の6800億円(同3%増)に修正。下期のメモリ市況がハイエンド端末の出荷に及ぶ可能性を踏まえ、モバイル向けセンサー全体では前年度から若干の減収を見込む。

TSMCとの次世代イメージセンサー開発・製造に向けた戦略的提携は、確定契約の締結に向けた協議が順調に進んでいる。準備費用として約100億円を通期見通しに追加計上した。「TSMCとの提携を通じて、高密度化などによる将来の技術競争力を高め、フィジカルAI領域などでの需要増を確実に取り込み、イメージセンサー市場におけるナンバーワンポジションをより強固なものにしていく」としている。

令和8年熊本地震の影響

7月28日に発生した令和8年熊本地震について、陶CFOは「熊本県および周辺の各県には、複数の半導体事業所があり、そのすべての事業所が地震の影響を受けた。だが、数人の軽傷者を除き、その他の人的被害は発生していない」と説明した。震源に近い熊本県菊陽町のソニーセミコンダクタマニュファクチャリング熊本テクノロジーセンターは震度5強を観測し、地震発生直後から生産を停止。現在、再開に向けた復旧活動を進めている。

安全確認と復旧作業の結果、8月4日から段階的に操業を再開する見通しで、8月中旬には地震前の稼働水準に回復する見込み。2016年の平成28年熊本地震では完全復旧に3カ月を要したが、「被害の程度が異なることが大きいが、10年前の学びから、迅速な復旧につなげている」と述べた。耐震強化やパートナー企業との連携強化、関係者の努力の成果もあるという。長崎、大分、鹿児島の各生産拠点は建屋や設備に大きな被害はなく、生産を再開している。

熊本地震の業績への影響は「現時点では合理的に見積もることは困難」として通期見通しに織り込んでいないが、「早期に復旧していることもあり、年間業績を大きく変動させるようなことはない」とした。

タムロン買収提案

タムロンに対する買収提案については、「現時点では、詳細を語るステージではない」としつつ、完全子会社化を目指す提案を行っていることを明らかにした。「タムロンの株主にとって、またソニーのイメージング事業にとっての最適な価値創造に関する提案と位置づけている」と説明。「クリエイターの創造力を支えるテクノロジーへの投資は、ソニーの戦略投資の柱である。今回の提案は、ソニーの重点領域への投資のひとつとなる」と語り、「タムロンの企業価値の向上とともに、両社の強みを生かして、イメージング事業の発展につながることを目指したい」と述べた。