全国の裁判所めぐり「お宝判決」発掘、著作権法の実像追う研究者
全国の裁判所めぐり「お宝判決」発掘、著作権法の実像追う研究者

北海道岩内町への旅は札幌から高速バスに2時間半、揺られた。那覇市は日帰りで行った。

著作権法が専門の谷川和幸さん(42)は全国40カ所を超える裁判所を訪ね、一般に公表されていない裁判例を集めてきた。

判決文の公開は極めて少ない

実は全国の裁判所が公開している判決文は極めて少ない。谷川さんは最高裁に情報公開を求め、全国の知的財産権関連の裁判リストを入手した。

ただ、リストは事件番号などの羅列で、中身が分からない。現地を訪ね、判決文をひたすら読んだ。

コピーは許されないため、判決をノートにメモする。ノートは15冊に及んだ。興味深い事例は弁護士と交渉するなどして、写しをもらった。

「宝探しですね。新しい論点や法解釈を示した面白い判決に出会うと、興奮します」

「お宝」判決の発見

実際、「お宝」はあった。

その一つは、ネットの相談サイトに、「こんな写真を撮りたい」と、他人の写真を投稿した行為の是非が問われた訴訟だ。

札幌地裁と札幌高裁は、写真投稿を「引用」とし、合法と判断した。

著作権法の条文には明記されていない「参照」のための引用を認めた判決と、谷川さんはみる。「表現の自由を重視して、引用の範囲を広げるもので、画期的な判断だ」

また、違法コンテンツへのリンクを張る行為をめぐり、既知の裁判例とは反対の判断を示す判決を発見したこともある。

「判決文は国民の財産」

当事者の意向で判決が民間データベースに掲載される一方、当事者の意に沿わない判決が埋没し、結果的に裁判例が偏ってしまうことがあるという。

「判決文は国民の財産」と谷川さんはいう。裁判官の判断が広く批評・検証されることで、法の解釈が洗練され、法の発展につながっていくからだ。

研究は、刑事裁判にも広がった。知的財産法と刑法の研究者計…