経済政策はトラック競技と同じだ。スタートや助走で転んだり、途中で障害物につまずいて倒れると敗れる。高市早苗政権の成長政策にもその恐れが出てきた。消費税減税国会の初っぱなから、簗和生農林水産相が地元自治体への道路予算削減圧力疑惑で辞任に追い込まれた。9月からは、トランプ米政権による対日反リフレ圧力が高市政権に重くのしかかったままだ。
簗氏辞任と積極財政議連の行方
辞任した簗氏は、自民党の「責任ある積極財政議員連盟」の副代表だ。同議連は高市成長政策の司令塔である城内実経済財政担当相の別動隊とされる。仮に、この騒動が高市内閣への支持率激減を招くようでは、高市首相のリーダーシップが揺らぎかねない。
衆院では圧倒的多数の与党も、参院では少数派だけに、消費税減税法案審議で首相は強気一辺倒では済まされなくなる。
トランプ政権の反リフレ圧力と日銀利上げ
もっと深刻なのは、トランプ米政権からの「リフレ政策中止」と「円安阻止」要請が及ぼす財政、金融政策への影響だ。植田和男日銀総裁は9月18日に利上げを加速させる姿勢を鮮明にし、日銀のタカ派政策審議委員たちは勢いづいて「中立金利」まで待ち出して、政策金利を2%以上まで引き上げようとする。
中立金利とは景気を悪くもよくもしない金利という意味だが、その判別は事後的にしかつかない。ただひとつ言えることは、現状の消費需要は脆弱なのに、政策金利引き上げに伴う住宅ローン金利など銀行貸出金利が勤労者家計や中小・零細企業の負担増が数兆円増えることだ。
家計圧迫と銀行収益の拡大
対照的に、金融機関の日銀当座預金に政策金利1.25%が適用されることで、メガバンクなどは居ながらにして年間で6.25兆円の利息を日銀から受け取ることができる。預金金利はほんのわずかしか上がらず、家計の利息収入は政策金利1.25%に合わせて上昇した預金金利でも年間5500億円から1.1兆円にとどまる。
日銀利上げは銀行収益を大幅に増やし、家計を圧迫することは確実だ。「中立金利まで利上げすべき」と公言する日銀幹部や日銀政策審議委員は国会に招致し、きちんと説明すべきだろう。日銀に何も言えない高市政権の姿勢が問われている。