日産株主総会紛糾、ルノーによるみずほ外しの全貌とパワーバランス激変
日産株主総会紛糾、ルノーによるみずほ外しの全貌

6月23日、横浜の本社ホールで開かれた日産自動車の株主総会は、今年も大荒れの展開となった。議長を務めるイヴァン・エスピノーサ社長兼CEOが開会の挨拶を始めてから1分も経たず、個人株主から議長不信任の動議が飛び出した。すぐに否決されたが、その後も日産株を27万株保有する第二電電(現KDDI)共同創業者の千本倖生氏が、「日産の時価総額はトヨタの40分の1。日産を経営するCEOとしては不適切だ」と詰め寄った。

株主の不満爆発、修正動議の応酬

さらに別の個人株主が、現在レバノンに逃亡中のカルロス・ゴーン元会長を取締役候補の1人と代えるよう修正動議を提出。「これぐらいの劇薬が必要」だと訴えたが、後に否決された。

エスピノーサ社長は2025年4月の就任後、神奈川県の追浜工場をはじめ世界7工場の閉鎖を決めるなど、前経営陣が及び腰だった抜本改革を進めてきた。ただ、中東情勢の影響もあり日産の株価は3月以降低迷し、この日は年初来安値を更新。27年3月期まで3期連続で無配を計画する一方、日産の取締役が高額報酬を得ている問題もあり、株主の不満が渦巻いた。

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永井氏の独立性と在任期間に批判

再び会場がざわついたのは、総会開始から2時間20分ごろ。質疑応答が打ち切られ、議案の採決に入ろうとしたときのことだ。総会冒頭に動議を行った株主が、選任候補となっている取締役12名のうち数人の候補を一括採決ではなく、個別に分離採決を採るように修正動議を求めたのだ。

議長のエスピノーサ社長がこれに反対し、返す刀で、「永井素夫を除外して、11名の候補者と分離議決することを提案いたします」(エスピノーサ議長)と突如表明。これが承認されすぐに採決となった。そして、淡々と「11名の取締役候補者の取締役選任についてのみ承認・可決され、永井素夫の取締役選任については否決されました」と読み上げた後、定時株主総会の閉会を宣言した。

古参社外取が消え、パワーバランスは執行側へ

日産のような大企業で、会社が提案する社外取締役候補が否決されるという異例の事態となった。永井素夫氏はみずほコーポレート銀行出身で、日産の「影の支配者」と評す声もあった。その背景には、仏ルノーによる「みずほ外し」の動きがあったとされる。ルノーは日産の筆頭株主であり、今回の総会で永井氏の否決に主導的な役割を果たしたとみられる。これにより、日産の取締役会におけるパワーバランスは、従来の銀行・ルノー連合から執行側へと大きく傾くことになった。

永井氏は社外取締役としての独立性と在任期間の長さが批判の対象となっていた。株主からは「みずほ銀行の利益を代弁している」との声も上がっていた。今回の否決は、コーポレートガバナンス改革の流れの中で、独立性の低い社外取締役に対する市場の厳しい視線を如実に示すものとなった。

日産は今後、新たな社外取締役の選任を迫られることになるが、ルノーとの関係や今後の経営方針にも影響を与える可能性がある。株主総会の混乱は、日産が抱える構造的な課題の深さを浮き彫りにした。

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