日産自動車が電気自動車(EV)シフトを加速する中、部品調達戦略の見直しが進んでいる。従来のエンジン車に比べ、EVは部品点数が約3分の1に減少するとされ、これにより多くの中小部品メーカーが事業の岐路に立たされている。
部品点数削減がもたらす調達構造の変化
日産は2023年11月、2030年までに新型EVを27車種投入する計画を発表。これに伴い、エンジンやトランスミッションなど従来のパワートレイン部品の需要は減少し、代わってバッテリーやモーター、インバーターなど電動化関連部品の需要が拡大する。日産の調達責任者は「部品点数の削減は避けられず、サプライチェーン全体の効率化が急務」と述べている。
実際、エンジン車には約3万点の部品が使われるのに対し、EVでは約1万点に減少するという試算がある。これにより、エンジン部品を主力とする中小企業は受注減少に直面している。愛知県内の部品メーカー経営者は「今まで当たり前だった仕事がなくなる恐怖を感じる」と打ち明ける。
中小部品メーカーの生き残り戦略
こうした中、一部の中小企業は新たな分野への進出を模索している。例えば、金属加工技術を活かしてEV用バッテリーケースの製造に乗り出す企業や、モーター用の磁石の加工に特化する企業も出てきている。しかし、設備投資や技術習得には多額の資金が必要で、すべての企業が適応できるわけではない。
経済産業省の調査によると、自動車部品サプライヤーの約7割が従業員300人未満の中小企業であり、その多くがEVシフトへの対応に苦慮している。政府は2022年度補正予算で中小企業の電動化対応を支援する基金を創設したが、効果は限定的との声もある。
日産の調達戦略と地域経済への影響
日産は調達先の集約を進めており、特定の部品についてはグローバルで数社に絞り込む方針だ。これにより、コスト削減と品質向上を図る狙いがあるが、地域に根差した中小企業にとっては厳しい競争を強いられることになる。日産のサプライチェーンは国内約1万社に及び、その多くが中部地方に集中している。同地域の経済に与える影響は小さくない。
一方で、日産は新たなパートナーシップも模索している。例えば、スタートアップ企業との協業や、異業種からの参入を受け入れる動きも見られる。日産の調達本部長は「変化を恐れず、共に成長できるパートナーを求めている」と語る。
EVシフトは自動車産業の構造を根本から変える可能性があり、中小部品メーカーの適応力が問われている。日産の調達戦略の行方は、日本のものづくり産業全体の未来を占う試金石とも言えるだろう。



