明治時代に建設された「奈良監獄」が、約120年を経て「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート」として生まれ変わった。国の重要文化財を観光資源として活用しながら、その収益を維持に充てるという新たな試みを、館長として率いるのが、大阪出身の八十田香枝さん(54)だ。
開業から5カ月、入館者は想定を上回るペースで推移
開業から約5カ月が経過し、入館者は大阪を中心とした関西地域からの来場が大半を占めるという。今後は集客範囲を広げ、訪日外国人への案内にも注力していく方針だ。年間の見込み入館者数は30万人だが、8月16日には想定より1カ月半早く10万人を突破した。
八十田館長は「訪れた瞬間に、よそにはない、唯一無二の存在であることを体感してもらえて、その価値が伝わっているのだと思います」と手応えを語る。
「美しき監獄からの問いかけ」をコンセプトに
星野リゾートにとって初のミュージアム事業となる本施設のコンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」。国の重要文化財を舞台に、デザインやアートを通じて監獄を掘り下げ、当たり前の日常を揺さぶる新たな体験を提供する。「塀の中から外の世界にいる自分は果たして自由か、自由とは何かという問いにつなげます」と八十田館長は説明する。
展示物の位置や文章の表現に至るまでこだわり、開業直前まで議論を重ねたという。一方で、文化財の保護と入館者の満足度を考慮し、入場規制も設けている。
館長抜擢の理由と、大阪のおばちゃん気質の活かし方
館長に抜擢された理由について、八十田さんは「私が好奇心が旺盛で、人が大好きです。星野佳路代表とは若い頃に密に連携して仕事をしていたので、私が館長の内示に飛びつくとわかっていたんだと思います」と話す。
ミュージアム運営では、奈良市、奈良県、法務省、文化庁、出資企業など、やり取りする関係者は多岐にわたる。「お願いしづらいことも出てきます。そこは大阪のおばちゃん気質を出して、一緒に取り組もうという雰囲気づくりを心がけています」と語る。
星野リゾートでのキャリアはまもなく30年になる。入社のきっかけは動物好きだったことに関連するというが、詳細は有料記事の続きに記載されている。