東京商工リサーチは8月12日、全国162万4,517社の「メインバンク調査」の結果を発表した。調査は同社の企業データベースから2013年~2026年の各3月末の取引企業のメインバンクを集計したもので、商号変更や統合等は2026年8月5日判明分までを採用。メインバンクが複数の場合、最上位行をメインバンクとした。
メガバンクが上位独占、三菱UFJ銀行が14年連続トップ
全国メインバンク取引社数ランキングでは、三菱UFJ銀行が12万7,218社で14年連続トップを守った。2位は三井住友銀行(10万2,557社)、3位はみずほ銀行(8万575社)で、メガバンクが上位を独占。前年比では三菱UFJ銀行(46社減)とみずほ銀行(266社減)が減少した一方、三井住友銀行(860社増、前年比0.84%増)が唯一増加した。2026年に三井住友銀行をメインバンクにした企業の約3割が設立5年未満で、中小企業や新設法人向け金融サービス「Trunk(トランク)」が寄与した可能性がある。
上位5位までに変動はなかったが、6位の福岡銀行は7位の千葉銀行と入れ替わり、11位には長野銀行と合併した八十二長野銀行が17位から6ランクアップした。1万社超の銀行は北國銀行が加わり、前年から1社増の37行となった。
信金・信組、ネット銀行の動向
信用金庫では、京都中央信金が9,126社で増加率は鈍化したがトップを堅持。2位の大阪シティ信金、3位の多摩信金、4位の尼崎信金、5位の横浜信金は順調に取引先を拡大した。信用組合では、茨城県信組(3,129社)がトップ。2位の広島市信組は1,470社、3位の長野県信組は1,269社で、ともに社数を大幅に増やした。その他では、ネット銀行のGMOあおぞらネット銀行が5位にランクインした。
都道府県別シェア:東日本
北海道では北洋銀行(シェア37.5%)が高シェアを維持するが、シェア率は微減。2位のほくほくFGの北海道銀行(同15.7%)もシェア低下。3位の北海道信金(同5.7%)、4位の旭川信金(同4.0%)、5位の帯広信金(同3.6%)など信金が健闘した。
東北では、青森みちのく銀行が青森でシェア71.2%(1万2,208社)と全国2位の高シェアだが、224社減。岩手は岩手銀行(同45.0%)がトップで、2位の東北銀行(同16.7%)、3位の北日本銀行(同15.8%)とシェア争いが続く。宮城は七十七銀行(同56.9%)が盤石。秋田は秋田銀行(同53.9%)がシェア5割超で、2位の北都銀行(同28.9%)は荘内銀行との合併でフィデア銀行となる予定。山形は山形銀行(同37.4%)、2位きらやか銀行(同23.6%)、3位荘内銀行(同18.4%)で、合併後の取引社数は岩手銀行や秋田銀行に肉薄する。福島は東邦銀行(同41.1%)がシェアを伸ばし、2位大東銀行(同9.2%)、3位福島銀行(同8.4%)。
北関東では、茨城は常陽銀行(同47.8%)、栃木は足利銀行(同46.3%)、群馬は群馬銀行(同50.1%)が各県トップ。首都圏では、埼玉は埼玉りそな銀行(同28.3%)、千葉は千葉銀行(同41.1%)、東京は三菱UFJ銀行(同22.5%)、みずほ銀行(同20.3%)、三井住友銀行(同17.6%)の3メガが強い。神奈川は横浜銀行(同21.6%)が地盤を固め、東日本銀行と神奈川銀行で「横浜FG」を形成し、グループ含め実質1県1行体制。
甲信越では、新潟は第四北越銀行(同59.5%)、山梨は山梨中央銀行(同56.8%)、長野は八十二長野銀行(同64.1%)がトップ。中部では、岐阜は十六銀行(同33.4%)と大垣共立銀行(同20.5%)が激しいシェア争い。静岡は静岡銀行(同39.2%)、愛知は三菱UFJ銀行(同22.7%)、三重は百五銀行(同45.0%)がトップ。
都道府県別シェア:西日本
北陸では、富山は北陸銀行(同48.4%)、石川は北國銀行(同54.0%)、福井は福井銀行(同56.6%)がトップ。近畿では、滋賀は滋賀銀行(同60.5%)、京都は京都銀行(同32.4%)、大阪は三菱UFJ銀行(同18.8%)、兵庫は三井住友銀行(同21.4%)、奈良は南都銀行(同59.2%)、和歌山は紀陽銀行(同61.7%)がトップ。
中国では、山陰合同銀行が鳥取(48.2%)と島根(66.8%)でトップ。岡山は中国銀行(同48.6%)、広島は広島銀行(同39.6%)、山口は山口銀行(同59.2%)がトップ。四国では、徳島は阿波銀行(同55.5%)、香川は百十四銀行(同47.3%)、愛媛は伊予銀行(同57.4%)、高知は四国銀行(同51.2%)がトップ。九州・沖縄では、福岡は福岡銀行(同37.7%)と西日本シティ銀行(同32.2%)のシェア争いが続く。佐賀は佐賀銀行(同56.7%)、長崎は十八親和銀行(同82.7%)、熊本は肥後銀行(同57.8%)、大分は大分銀行(同51.5%)、宮崎は宮崎銀行(同59.9%)、鹿児島は鹿児島銀行(同52.9%)、沖縄は琉球銀行(同41.5%)と沖縄銀行(同38.9%)が激戦。
取引先企業の増収増益率ランキング
金融機関別にメインバンクとなっている取引先企業(2025年1-12月期)の売上高、最終利益を対象に増収増益率を算出した。1位は「CCIグループ」の北國銀行(増収増益率40.4%)で初のトップ。4年連続でトップ3に入る効果的な取引先支援について、同社は「2024年に導入した業界別営業を通じて業界ごとの知見を蓄積しながら、事業性理解とコミュニケーションを重視した営業活動により、お客さまと課題を共有し、その解決に取り組んできた。CCIグループ(旧:北國FHD)が提供する金融・非金融の様々なソリューションによる支援が、お客さまの成長につながった結果と考えている。引続き、この取組みを継続・進化させていくことで、お客さま及び地域の持続的な成長に繋げていきたい」とコメントした。
2位は「ほくほくFG」の北陸銀行(同37.9%)。北陸銀行は「金融・非金融の融合によって地域・お客さまの課題解決力を深化させ、事業性貸出のみならず、事業承継・M&A、経営コンサルティング、SX推進等を通じた取引先の持続的成長支援、人材、DX・AI活用支援、ビジネスマッチングによる販路開拓支援など、最適なソリューションの提供に取り組んでいる」と支援効果が出ていると分析した。3位は宮崎銀行(同37.6%)で、「地域から信頼される「First Call Bank」を目指し、お客さま一社一社の課題に向き合い、解決まで伴走してきた取り組みの成果だと受け止めている。今後も事業承継やDXをはじめ、経営課題の解決を通じて地域やお取引先の成長に貢献する」とコメントした。
倒産企業のメインバンク調査
各年度(4-3月)に倒産した企業(負債1,000万円以上)のメインバンク(判明分)を分析した。社数では、地方銀行が1,977社(構成比37.4%)で最多。次いで信用金庫が1,464社(同27.7%)、都市銀行が998社(同18.9%)、第二地銀が536社(同10.1%)、信用組合が179社(同3.3%)、政府系金融機関やネット銀行などその他が126社(同2.3%)の順だった。
業態別メインバンクの取引社数を分母にして、2025年度の倒産企業数を除した「倒産比率」(その他除く)は、信用組合の0.50%が最も高く、信用金庫の0.40%、第二地銀の0.35%、地方銀行の0.30%、都市銀行の0.26%だった。小・零細企業の取引が多い信用組合や信用金庫の倒産比率が高く、窮境状態にある小・零細企業への支援の裏返しと読み解くこともできる。
メイン企業数の増加率ランキング
メインバンクの取引社数(500社以上)を前年と比較した増加率ランキングでは、1位は3年連続トップのGMOあおぞらネット銀行で、64.3%増の3,217社。2位は8月に「ドコモSMTBネット銀行」に商号変更をした旧住信SBIネット銀行(前年比37.7%増)、3位にPayPay銀行(同12.9%増)、4位に楽天銀行(同12.4%増)、5位に福岡銀行(同6.2%増)の順。6位は滋賀中央信金、7位に九州ひぜん信金、8位に福岡中央銀行、9位に福岡県信組と九州地区が伸ばし、10位に岡山県の笠岡信組がランクインした。福岡県は2025年のTSR調査で新設法人率が4位だったほか、県外取引先を増やした可能性もある。



