常陽銀行頭取・秋野哲也氏、地域経済貢献へ業務拡大-人材紹介や事業承継支援に注力
常陽銀頭取、地域経済貢献へ業務拡大 人材紹介など注力

常陽銀行(水戸市)の秋野哲也頭取(63)が本紙のインタビューに応じ、金利のある世界への移行や人口減少時代における地域銀行の役割について語った。同行は足利銀行との統合から10年を経て、過去最高益を計上。今後は人材紹介や事業承継支援など、非金融業務の拡大を通じて地域経済への貢献を強化する方針を示した。

金利ある世界への転換と銀行の役割

秋野頭取は、日本経済が約30年のデフレと約10年のマイナス金利を経て、現在は「インフレの世界」を経験していると指摘。デフレ時代は売上数量の拡大やコスト削減が経営の主テーマだったが、今は「価格をどう引き上げるか」が課題になったと述べた。

「消費者のマインドも変わってきた。値上げは嫌だけど、そうしないと自分の賃金も上がらない。経営者もマインドを変えていかないといけない」と語った。銀行ビジネスの本質は、企業の成長や適切なキャッシュフローについて助言・支援することだと強調した。

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足利銀行との統合効果と今後の展望

足利銀行(宇都宮市)との統合から10年。この間、マイナス金利やコロナ禍、米国の関税問題、中東情勢といった向かい風が多かったが、統合のメリットを発揮できたと振り返った。銀行ビジネスは「規模の経済」が重要で、統合により資産が増加し、システム統合によるコスト削減効果もあった。貸出金の規模拡大と金利上昇により、昨年度は過去最高利益を計上し、相乗効果を実感しているという。

今後の展開について、規模拡大の意向は持ちつつも、地域経済への貢献と資金の効率的な運用が重要だと指摘。「今は県境を超える水平統合が多いが、これからは垂直統合も考えないといけない」と述べ、小規模銀行の経営難を踏まえ、地域の信用金庫・信用組合も含めた垂直統合の時代が来るとの見通しを示した。

人口減時代の地域活性化策

人口減少時代においては、経済が強くない地域から人が流出すると指摘。国の成長戦略に乗りながら、茨城県と栃木県への企業・工場誘致を進め、両県の産業を強化する方針を示した。地域の中核企業の強化に向け、事業承継対策に力を入れ、スタートアップなど新しい風を取り込む考えだ。茨城は首都圏に近く、空港や港もあることから、海外との取引ルート拡充も重要だと述べた。

外国人材の受け入れにも意欲を示し、「企業、医療、介護の現場で圧倒的に人が足りていない」と現状を指摘。現在はインドネシアに注目しており、優秀な人材を受け入れる仕組みを民間で構築し、県が受け入れ態勢を整え、共に成長する共生社会を築きたいと語った。

銀行業務の拡大と新たな取り組み

2021年の銀行法改正により業務領域が拡大されたことを受け、M&Aや事業承継支援、人材紹介の取り組みを大幅に広げた。再生可能エネルギーの子会社も設立し、不動産業以外は大体できるようになったと実感している。今後は、広く一般で使える求人サイトの整備を計画。リクルートの茨城県版のようなイメージだという。

業務の共同化にも注目しており、社員の給与計算や労務管理の集約化など、中小企業が共通して抱える課題に対して「我々が汗をかけるところはあると思う」と述べた。銀行の業務規制緩和が相当進んだことを受け、「地域経済をよくし、地域の人たちの人生を豊かにするためのお手伝いは、何でもやっていく」と決意を示した。

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