ジャガイモ輸入解禁協議、病害虫阻止へ徹底吟味を
ジャガイモ輸入解禁協議、病害虫阻止へ徹底吟味を

日本政府がトランプ米政権との間で、米国産の生鮮ジャガイモの輸入解禁を巡る協議を進めている。日本は冷凍・加工ジャガイモの輸入を認める一方、生鮮品は一部を除き禁じてきた。協議は米側の要請によるもので、農林水産省幹部が9月に訪米した際には解禁手続きの加速が求められた。

守るべき一線は病害虫侵入リスクの根絶

日本には譲ってはならない一線がある。生鮮品に付着して病害虫が侵入するリスクをいかに根絶できるかだ。それが確実に担保されない限り、輸入を解禁すべきではない。

武部新農林水産相が対米協議について、「科学的・技術的な議論を尽くして進めていくべきものだ。毅然(きぜん)と対応していきたい」と述べたのは当然だ。米側の圧力で前のめりに解禁するようでは大きな禍根を残す。

協議の経緯と今後の手続き

米側は第1次トランプ政権時の2020年に輸入解禁を要請した。日本は06年から日本国内でポテトチップスに加工する用途に限定し、厳しい防疫条件を付した上で生鮮品輸入を認めているが、トランプ政権は一般流通用での解禁を求めている。

病害虫の侵入を防ぐ輸入規制は世界貿易機関(WTO)で認められた措置だ。ただ、解禁要請があれば協議に応じる必要がある。これまでに、米国から病害虫が侵入する可能性や、侵入時の農業被害などのリスク評価を行い、今年8月、協議対象とすべき21種類を特定した。今後は病害虫ごとに特性に応じた検疫措置を設定し、米側の実施体制や施設などを確認するリスク管理協議に移る。

過去の被害と食料安全保障の観点

適正な解禁条件が設けられれば輸入が可能となる。最終判断には数年かかるとの見方もあるが、時間を要しても、科学的に妥当な手法でリスクを適正に管理できるかを十分に吟味すべきだ。いったん病害虫の侵入を許せば農業経営への被害は甚大になりかねない。

北海道網走市では15年、21種類の1つ、ジャガイモシロシストセンチュウが国内で初確認され、周辺では今も作付け禁止地域が残る。農薬への耐性が強く駆除しにくい病害虫なら深刻だ。種イモに混入すれば、被害が広範に及ぶ懸念もあろう。ジャガイモ農家らが解禁に反対するのもうなずける。主食の代用となるイモ類の生産基盤を維持することは、有事の食料安全保障に関わることも併せて銘記しておきたい。