和洋九段女子中高、DXハイスクール3年目「クリエイティブLab」で探究学ぶ
和洋九段女子中高、DXハイスクール3年目「クリエイティブLab」で探究

和洋九段女子中学校高等学校(東京都千代田区)は今年度、文部科学省の「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)採択校」として3年目を迎えた。補助金を活用して整備した「クリエイティブLab」を拠点に、高校2年の探究授業で3Dプリンターや生成AIを活用した個人研究が進められている。

DXハイスクール事業の概要

DXハイスクール事業は、デジタル分野を支える将来の人材育成を目標としており、情報や数学の授業を重視し、情報通信技術(ICT)を活用した文理横断的で探究的な学びを強化する学校を国が支援する。同校は2024年度、文科省に提出した事業計画が採択され、初めてDXハイスクールに指定された。翌年度以降も継続校となり、現在3年目を迎えている。

DXハイスクール担当として、具体的な環境整備や授業づくりを進めてきた理科主任の小仲井浩教諭は、「採択以前は、生徒が『こういうことをやりたい』と思っても、学校の設備だけでは限界がありました。DX化を進めることで、生徒のやってみたい気持ちを探究活動につなげられる環境をつくれたことは、とても有意義であったと感じています」と語る。

クリエイティブLabの整備と外部講座

現在、同校は「デジタル技術を活用し、問題を解決していける人材の育成」を目的とする三つの取り組みを進めている。生徒が自由に使える「クリエイティブLab」の整備と、デジタルクリエイティブツールを用いた探究活動、及び外部委託によるDX関連教育だ。

DX関連教育では、ライフイズテック株式会社をはじめとした外部業者を招いた講座があり、夏休み、冬休み、春休みに1回ずつ設けている。今年の夏休みはメタバース空間作成、昨年度の春休みはVRゴーグルの体験会、昨年度の冬休みはデータサイエンス体験会だった。今後は講座の回数を増やしたいとしている。

「クリエイティブLab」には、30台の高性能パソコンと、3Dプリンターとレーザーカッターが各1台備わっている。

サイエンスコースでの探究活動

これらの「デジタルクリエイティブツールを用いた探究活動」の中心となっているのが、高校「サイエンスコース」の「理数探究」授業だ。サイエンスコースでは、高1の「理数探究基礎」で生成AIを使った動画制作や3Dプリンター、レーザーカッターの活用方法を学び、高1の3学期に生徒一人一人と面談して、高2の「理数探究」で行う個人研究のテーマを決める。

サイエンスコースの高2生は、「クリエイティブLab」を本格的に使い始めた1期生に当たる。藤田寿々子さんは「磁力で人間を浮かせたい!」という研究テーマに取り組み、実験に使う人形を3Dプリンターで作った。「人形のおなかの部分が容器になっていて、そこに水かお米を入れて重さを調整します」と話す。

五十嵐由桂さんは「AI生成画像における『AIらしさ』とは何か」をテーマに研究している。画像生成AIウェブアプリ「Adobe Firefly」を使い、違和感を感じさせる要因を調べている。今後はアンケートを取る予定だという。

今後の展望と教員研修

小仲井教諭は、「今は研究に必要なものを3Dプリンターで作れるようになりました。以前でしたら適切な実験材料がなかったら、その研究自体を諦めていましたが、必要なものがなければ自分で作ればいい。それができる環境になったことが、一番大きな成果だと感じています」と成果を強調する。

今後の課題については、「整備した環境を一部の授業や教員だけのものにせず、学校全体の教育にどう広げていくかが課題です」と語る。教員向けに3Dプリンターやレーザーカッターに関する研修を行い、活用できる教員を増やしている。現在はサイエンスコースが主に活用しているが、2026年度に新設された「フューチャーデザインコース」での活用も検討している。

小仲井教諭は、「最終的に目指しているのは、3DプリンターやAIを使える生徒を育てることではありません。『こういうことを実現したい。そのためにはこの技術を使えばいい』と、自分で考えて行動できる生徒を育てることです」と語る。