茨城県は、県内3事業者が製造する打ち上げ花火を「いばらきの花火」として県伝統工芸品に指定した。職人の手作りによる打ち上げ花火への理解を広め、高度な職人技を県内外に発信するとともに、花火文化の振興や知名度向上につなげる狙いがある。
対象となった3事業所
指定対象となったのは、野村花火工業(水戸市)、山崎煙火製造所(つくば市)、丸玉屋小勝煙火店(下妻市)の3事業所。配合した火薬を「星」と呼ばれる球状に成型する「星掛け」、半球の容器に詰める「玉込め」、表面にクラフト紙を貼る「玉貼り」など、大部分を担う精緻な手作業の伝統技術が評価された。
地域に根付く花火文化
県内には全国有数の花火職人が拠点を構えており、日本三大花火大会の一つに数えられる「土浦全国花火競技大会」をはじめとする年間30以上の大会が開催されている。花火は地域に深く根付いている。
一方で、花火の文化的価値や技術体系は十分に評価、可視化されていない。県は、花火を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録することを目指す取り組みを進めており、4月に「花火文化振興プロジェクトチーム」を庁内に設置したほか、7月には「茨城県地域花火文化振興協議会」を発足させてSNSでの情報発信などを図っている。
県生活文化課の担当者は「茨城固有の文化資源として位置づけ、まずは県民に花火の魅力を知ってもらうところからやっていきたい」と語る。
県民栄誉賞の贈呈も発表
県は併せて、今年度の県民栄誉賞を野村花火工業の野村陽一社長(75)に贈ることも発表した。五重の同心円を描く高難易度の「五重芯」を世界で初めて成功させたほか、「野村ブルー」と称される多彩な色彩表現、花火と音楽を同調させる芸術性の高いスターマインの演出などで、長年にわたり業界を牽引した功績をたたえた。