住友商事と東京メトロなどが出資する合弁会社が、鉄道発祥の地・英国でロンドンの主要路線を運営している。日本の鉄道運営の技術やノウハウを輸出する試みだ。
ロンドン交通局が所管するエリザベスラインは、2022年5月に開業した路線で、首都を東西に結ぶ。ヒースロー空港や中心部の繁華街、金融街シティ、東部のビジネス街カナリーワーフなど、ロンドンの主要拠点を通る。
日本の技術を現地に導入
住友商事と東京メトロ、英鉄道運営企業の3社による合弁会社GTSは、2025年5月からエリザベスラインを運営している。東京メトロにとって初の海外鉄道運営案件となる。
GTSは定期的に従業員を東京に派遣し、東京メトロの知見を取り入れている。運営開始当初には、ロンドンで初となる経路検索機能付き券売機を設置した。視覚的にわかりやすい運行表も導入予定だ。
住友商事で同事業を主導する池田真哉・欧州社会インフラ事業部長は「鉄道運営は日本にまだ残されている、さらに輸出できる技術やノウハウだ」と指摘する。
好調な運営実績
エリザベスラインの利用客は年々増加し、直近1年間は英国の路線で最大の2億5000万人以上が利用した。今年発表された顧客満足度調査では英国の全路線でトップとなった。
ロンドン交通局は新たに10編成を発注し、来年までに段階的に導入する。来年にはピーク時の中央区間の運行本数を1時間あたり24本から28本に増やす計画だ。
一方、エリザベスラインの設備はロンドン交通局のほか、政府系機関とヒースロー空港が所有する。車両はロンドン交通局からリースを受けた仏アルストムが整備し、GTSが運営を担う。GTSのウィリアム・バック氏は「考慮しなければいけない関係者が多い」と連携の難しさを語る。
今後の展開
住友商事は不動産事業の強みを生かし、駅の更新や沿線再開発も検討している。東京メトロは「現地の文化や事業環境、利用者ニーズを踏まえながら最適な形で実装することの重要性を学んでいる」とし、今後も海外鉄道ビジネスへの参画による収益獲得を目指すとしている。