埼玉県八潮市で2025年1月に県道が陥没し、転落したトラックの運転手男性(当時74)が死亡した事故で、男性の遺族が、陥没した道路の地下の下水道を管理する県に対して約1億2500万円の損害賠償を求める訴訟をさいたま地裁に起こしたことがわかった。提訴は7月28日付。
遺族3人が原告に
原告は、事故で亡くなった男性の子ども3人。訴状によると、転落した男性は当初、救急隊員の呼びかけに応じられる状態だったが救出が難航。約3カ月後に下水道管内で発見され、死亡が確認された。
原告側は訴状で、県が管理する事故現場地下の下水管は硫化水素によって「著しい腐食が生じていた」と指摘。公共の施設として「道路陥没を生じさせないという通常有すべき安全性を欠いていた」と主張している。
「例を見ない悲惨な事故」と訴え
また、男性は運転手歴21年以上で、日々事故を起こさないよう細心の注意を払っていたとも指摘。事故は「歴史的に見ても例を見ない悲惨なもの」で、遺族らは3カ月以上にわたって不安と心配を抱えながら過ごさざるを得ず、別れの言葉を交わす機会もなく家族を奪われたなどと訴え、「長期間にわたる極度の精神的不安及び心理的苦痛は甚大」として慰謝料を求めている。
大野元裕知事は「訴状の内容を精査している。今後とも適切に対応していく」などとコメントした。
県の第三者委員会は腐食を原因と指摘
事故原因を調べる県の第三者委員会は、陥没は下水道管が硫化水素によって腐食したことに起因するとしつつ、点検していた県が事故を防ぐことは難しかったとの見解を示した。