M&A(企業合併・買収)仲介最大手の日本M&Aセンターで、不適切な買い手を排除するためのリストへの登録を逃れる手口が浮上した。会社を手放した創業者の代理人を務める柴田堅太郎弁護士が6月24日、同社あてに通知書を送付し、担当者による偽装工作を指摘した。
会計事務所を通じて仲介依頼
東北地方で保育園や障がい児支援施設を営み、売り上げが10億円を超える会社の株式が昨年11月に譲渡された。60歳の創業者は20年を超えて営んできたが、自治体から人員配置の不備を指摘され、管理能力の不足を痛感して身を引くことを決めた。きちんとした事業会社に任せればガバナンスが強化されるとも期待した。
相談相手は、顧問の会計事務所を通じて知り合った日本M&Aセンターだった。担当者から「一緒に上場を目指せる」などと推された買い手は、大阪市で同業を手がける会社。最低2年は代表取締役を続けることが条件とされたが、「福祉という枠組みで社会貢献したい」などと伝えられたことに共感し、譲渡を決めた。
問題発覚はM&Aから3カ月余り後
問題が表面化したのは、M&Aから3カ月余り先のことだ。
通知書では、1億円超の経営者保証が解除されていないうえ、「貴社担当者により偽装工作がなされた」と指摘。不適切な買い手を排除するために講じた対策をすり抜ける新たな手口が浮かび上がる。
M&Aトラブルを防ぐために国や業界団体が講じてきた対策は十分なのか。経営者保証の未解除や表明保証違反、わかりにくい成功報酬など、仲介業界の課題を探る。



