日本航空(JAL)は6月30日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの公募事業において、補助金を不正に受給していたと発表した。複数年度にわたり社員の労務費を過大に請求していたもので、JALはすでに受給済みの労務費3.2億円のうち、2.9億円を返還するとともに、現在継続しているNEDO事業からも撤退する。
不正の対象となった事業と実態
問題となったのは「次世代空モビリティ事業(空飛ぶクルマ委託事業およびドローン委託・補助事業)」。JALは2021年8月の調査委託事業から参画し、翌2022年から3カ年計画で運航管理技術や複数ドローンの同時運用システムの開発などに携わってきた。
不正が認定されたのは2022年以降の開発プロジェクトだ。社員の労務費をNEDOに請求する際、根拠となる「従事日誌」に実際の従事時間や内容と合致しない内容を記載していた。2021年分については、社内にデータが残っておらず、不正の有無を確認すらできなかったという。
ずさんな管理体制
公募事業では事前に予算や実行計画を策定する。その後、実際にかかった時間に合わせて補助金を申請し受け取る。ところがJALは、事前の計画をもとに管理職が研究員ごとの予定従事時間を割り振り、それに合致する形で日誌を作成していた。その結果、実態とは異なる労務費を請求する形になっていた。
JALの飯山高広イノベーション本部長は「公共事業を行う会社として改めて襟をただし、信頼回復に努めたい」と述べている。
背景にある「予算使い切り」意識
関係者によれば、JAL内部には「予算は使い切るべき」という誤った意識が根強く、時間記録もどんぶり勘定になっていたという。また、問題に耳を傾けない風土が背景にあると指摘されている。JALは再発防止策として、従事日誌の管理体制を強化し、定期的な内部監査を実施する方針だ。
今後の影響と対応
JALは今回の不正を受け、NEDOとの事業から撤退する。返還額2.9億円に加え、既に受給した3.2億円のうち残りの0.3億円については、適正な請求であったかどうか引き続き調査中としている。国土交通省も今回の事態を重く見て、JALに対して厳重注意を行う方針だ。



