「うちには優秀な人材が足りない」――採用や人事の現場で、こうした声を聞いたことがある人は多いだろう。高学歴で面接の受け答えも申し分なかった人材を迎え入れても、不思議なことに職場はよくならない。会議では鋭いがチームの納得感を置き去りにする人、周囲に相談できず孤立してしまう人もいる。
「頭がいい」と「仕事ができる」はイコールではない
組織開発者の勅使川原真衣氏は、その理由について「頭がいい」と「仕事ができる」はイコールではないからだと指摘する。いろいろな現場に分け入る中で、頭の良しあしの話が、仕事の出来不出来を必ずしも予見しない場面を見てきたという。
考えてみれば当然だ。仕事は一人で完結するものではない。周囲の凸凹のある人間の組み合わせによって、なんとか前に進んでいる。仕事の成果は、個人の能力の話のみならず、その能力がどのような場面で、誰との関係の中で、どのように使われるかによって大きく変わるからだ。
「仕事ができる」より「仕事をしやすい」環境が重要
つまり「仕事ができる」人がいるというより、「仕事をしやすい」と感じる人の多い環境が成果を出しやすい、と言ったほうが正確だ。うまく回っている組織の多くは、一人の有能さによるものではなく、周囲の多様な知恵を引き出し、状況を読み、関係性を整え、必要な人に必要な情報を渡し、誰かの小さな違和感を拾い上げる……などを間断なく行っている。



