JAL、金融関連ビジネスを強化
日本航空(JAL)は新経営ビジョンで「フルサービスキャリア(FSC)以外の事業で利益の半分を稼ぐ」という目標を掲げている。FSC以外にはLCCも含まれるが、その多くはマイルなど金融関連ビジネスで占める見込みだ。基礎となるのはこれまで積み上げてきたマイル会員で、ANAは2025年度末時点で4400万人、JALも4100万人の会員を抱える。従来は飛行機利用でたまるポイントだったが、それを拡大し一つの経済圏にしようという戦略だ。
ahamo提携でdポイント経済圏に接近
6月5日、JALはNTTドコモの格安通信サービス「ahamo」との連携を発表。月々の利用でマイルがたまるほか、国内線特典航空券「どこかにマイル」を割引購入できる。JALの西田真吾マイレージ・ライフスタイル事業本部長は「NTTドコモという強力なパートナーと経済圏が重なる部分で多くのお客様にJALに振り向いていただきたい」と狙いを語る。JALでは外部サービスとのマイル提携やポイント交換を30年度に25年度の2倍に拡大する計画で、現在発行マイル数の約7割が非航空領域によるものだが、さらに拡大してマイルの入り口として経済圏を広げる作戦だ。
大手ポイント経済圏との競合回避
国内には楽天、Vポイント、dポイントなど巨大経済圏がひしめく。これらの経済圏は規模が大きく投資額も桁違いで、正面から戦うのは分が悪い。JALは差別化戦略として、金融関連サービスや旅行体験との連携を強化。例えば、JALカードの利用でマイルをためるだけでなく、投資信託や保険など金融商品との親和性を高めている。
マイル事業は航空会社にとって実はお得
マイル事業は航空会社にとって高収益ビジネスだ。マイルは航空券と交換されるが、実際に交換されるのは発行マイルの一部であり、未交換マイルは「失効」により利益に貢献する。また、提携企業からマイル販売収入を得られるため、航空事業とは別の収益源となる。ANAとJALはこの事業をさらに拡大し、不確実性の高い航空旅客事業への依存度を下げたい考えだ。
上級会員向け制度にも違い、批判も
両社は上級会員制度を改定し、マイルの獲得・利用条件を変更。一部の上級会員からはサービス低下への批判が出ている。例えば、ANAは2024年度から上級会員のステータス維持条件を厳格化。JALもマイルの有効期限短縮などで不満の声が上がる。しかし、両社は非航空事業の拡大で収益基盤を強化し、長期的な成長を目指す。
不確実性の増す世界で航空旅客一本足では危機を乗り越えられない
コロナ禍による航空事業停滞を経て、航空各社は非航空分野への進出を強化。ANAとJALはマイル事業を核に金融、通信、旅行関連サービスを拡大し、ポイント経済圏との競合を避けつつ独自のエコシステム構築を狙う。批判もあるが、両社はマイル事業への期待を込めて強化を続ける。



