愛知県岡崎市の中心商業地「康生地区」から、かつて「西三河一の繁華街」と称された街から百貨店が完全に消滅した。1958年に開業した「岡ビル百貨店」は2021年に閉店し、現在は取り壊されている。また、松坂屋岡崎店も2010年に閉店。2010年代以降、百貨店が次々と姿を消し、現在は市内に百貨店は一軒も存在しない。
歩行者数は回復したが消費は戻らず
市の道路交通情勢調査によれば、松坂屋が閉店した2010年の康生地区の歩行者数は、近年でも比較的多い水準にあった。人は街へ来ていたが、商業の勢いは戻らなかった。ネット通販の普及もあり、人通りの多さがそのまま売り上げにつながる時代ではなくなっている。「人がいる街」と「売れる街」は、もはや同じ意味ではないのだ。
整備が進む乙川河川敷と、公民連携施設「OTO RIVERSIDE TERRACE」では、かつて商業施設が並んでいた街が、川沿いを歩いて楽しむ場所へと変わりつつある。大型店がひしめいたエリアを抜け、岡崎城公園まで行くと急に人が増える。岡崎城公園内には観光みやげ店が並び、岡崎ゆかりのYouTuber・東海オンエアの限定品が購入できることもあり、ファンが集まっていた。
唯一残った百貨店機能は「デパ地下」
百貨店がすべて姿を消した岡崎で、唯一残った百貨店機能がある。郊外のイオンモール岡崎だ。開店当初、入居していた西武岡崎店は、2020年の閉店後、その一角に高島屋の食品売場「ジェイアール名古屋タカシマヤフードメゾン」が入った。百貨店を丸ごと維持するのではなく、需要の高い食品売場だけを残した形である。
地元商店街は百貨店を核に市民の消費を引き上げようと考えた。しかし半世紀を経て残ったのは、高級衣料品売場ではなく、「デパ地下」だった。



