IT調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)が2026年8月6日に公表した調査結果によると、上級システムエンジニア(SE)を確保できていない企業が42%、上級コンサルタントを確保できていない企業が40%に上ることが分かった。IT人材の需要と賃金のギャップが拡大している。
システム技術者の確保状況
ITRが実施した「システム技術者の契約単価に関する調査」の結果の一部で、システム技術者の確保状況を職種別に尋ねたところ、「あまり確保できていない」「ほぼ確保できていない」を合わせた回答割合が、全ての職種で3割を超えた。
特に顕著なのが、システムの設計や構造を担う「システムエンジニア(上級)」で42%、ITを活用した経営課題の解決を支援する「コンサルタント(上級)」で40%に達している。ITRは、高度な専門性を要する人材ほど確保が難しい傾向にあると分析している。
需要増加の背景
この人材不足の背景には、システム技術者への需要の拡大がある。システム技術者に対する需要の変化を尋ねる設問に対し、「非常に増加している」(28%)、「やや増加している」(62%)を合わせると、90%の企業が需要増を実感していた。ITRによると、「需要増加」を選ぶ割合が9割に達したのは今回の調査が初めてだという。
ITRは、システム技術者の需要が増加した上位5つの要因も発表している。最も多く選ばれた項目は「DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトの推進」だった。「生成AI活用など新規テクノロジーの調査・研究」「セキュリティ管理の強化」が続いた。
ITRは、企業のデジタル化やAI活用の進展に伴い、サイバーセキュリティ対策の重要性が一層高まっていることが、システム技術者への高い需要を押し上げているとみている。
契約単価の上昇傾向
需要の高まりを背景に、契約単価も上昇傾向にある。ITRによると、2026年度はコンサルタント(上級)やシステムエンジニア(上級)といった、高度なスキルを持つ専門職種において単価の上昇が特に顕著だ。
同社の水谷誠一氏(プリンシパル・アナリスト)は、IT人材不足を一時的な採用難として捉えるべきではなく、DX推進や生成AI活用の本格化に伴う構造的な問題だと指摘する。「企業は、採用活動の強化に加え、シニア人材や地方人材、オフショア開発の活用、さらにAIによる業務効率化などを組み合わせた、多面的な人材戦略が求められます」
なお、「システム技術者の契約単価に関する調査」は2026年5月11日から21日までWebフォーム形式で実施された。従業員300人以上の企業に勤務し、自社または情報システム子会社が契約するSEなどの契約単価を把握している回答者から、829件の有効回答を得た。



