2025年4月2日、米国のドナルド・トランプ大統領は「解放の日」と銘打ち、各国に対する相互関税の導入を宣言した。日本には46%の関税が課されるとされ、世界の貿易ルールが一変した。この日から15カ月が経過し、日本企業は豹変する関税政策に翻弄され続けている。
IEEPA関税の違憲判決と代替措置
2026年2月、米最高裁はIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく相互関税を違憲と判断したが、トランプ政権は速やかに代替措置へ切り替え、関税というカードを手放さなかった。2026年7月23日には通商法122条に基づく10%の関税が失効し、その後継として通商法301条に基づく関税が発動された。301条は不公正貿易に対する制裁措置で、強制労働対策の不備(日本を含む60カ国、最大12.5%)と過剰生産能力(日本を含む16カ国)の調査が行われている。強制労働を理由とする関税は2026年7月24日に正式発動し、日本には12.5%が適用された。
日本企業への影響:倒産増加
帝国データバンクによれば、2025年度の全国企業倒産は1万425件で、2年連続で1万件を超えた。同社は「関税政策に伴う大手企業の業績低迷が、サプライチェーン企業の受注環境の悪化を引き起こした」と指摘する。2026年度も、夏以降に倒産が増える懸念があるという。
対中関税と米中貿易摩擦
中国を巡る関税も複雑だ。一時は累計145%に達した対中関税のうち、IEEPAに基づく20%の「フェンタニル関税」と10%の相互関税は違憲判断で無効となった。現在は301条関税(主に25%)に122条の10%を加えた35%が実質水準だが、122条関税が期限切れとなり、強制労働や過剰生産能力を理由とする新たな301条関税が上乗せされる可能性もある。
関税は今後も続くのか
EYで貿易政策アドバイザーを務めるブレーク・ハーデン氏によれば、関税は民主・共和両党の一部にも支持されており、完全に廃れることはないという。2025年の関税収入が2640億ドルに上ったことや、関税で保護される国内産業が存在するため、一旦導入された関税は撤廃されにくい。一方、関税分が商品価格に転嫁され物価上昇を招くとの指摘もある。しかし、企業は「自社には関係ない」とは言えず、中東情勢やエネルギー価格などのリスクも織り込みながら、常にコストやリードタイムの変化を更新する必要がある。



