中国から重要鉱物が届かない。中東から燃料が供給されない。国内の大地震で工場や港湾が機能を停止する――。この3つの事態が同時に発生した場合、日本の戦略産業は何日間稼働し続けられるのか。「責任ある積極財政」の真価を問うには、まずこの問いへの回答が求められる。
骨太方針が掲げる「責任ある積極財政元年」
7月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」は「責任ある積極財政元年」を掲げた。日本成長戦略はAI・半導体、防衛産業、造船、資源・エネルギーなど17分野、62の主要な製品・技術を定め、2040(令和22)年度までに官民で累計370兆円超の国内投資を想定している。これは政府支出に企業投資を含む官民の累計額だ。
過去の「1年度1予算」の発想を改め、複数年度で予見可能な投資を促す方向性は正しいと評価できる。
「危機管理投資」の位置づけと前進
政府文書に「危機管理投資」を正面から盛り込んだ点も重要だ。骨太方針は、経済安全保障を危機管理投資、成長投資と「表裏一体」のものと位置づけ、エネルギー、食料、医薬品、物流などを総点検する。経済合理性だけでは安定供給できない領域への支援を想定している。
防衛生産では、平時の民生利用も前提に増産能力を強化する方針だ。これらも前進として位置付けられる。



