中国の不動産大手・恒大集団(エバーグランデ)は、約1兆9100億円(120億ドル)を投じて南シナ海に人工島「海花島」を開発した。20万人の滞在を目指したリゾートだったが、習近平政権の不動産規制で開発は頓挫。ほぼ完成しながら一戸も売れなかった高層マンション39棟は撤去命令を受け、現在は廃墟となり、富豪向けの別荘として宣伝された島は、出稼ぎ労働者の住処となっている。
「富豪の夢のヴィラ」の変わり果てた姿
南シナ海の沖合に建つ豪華なヴィラは、かつてロシアのオリガルヒのような富豪にふさわしい別荘として宣伝されていた。しかし現在、割れた窓からは風が吹き込み、家具のない部屋の床では、勝手に入り込んだ出稼ぎ労働者たちが寝起きしている。
海花島は、北京から約2000キロ南に浮かぶ海南島の儋州市沖に位置する人工島で、2010年代に観光客の誘致と不動産開発を目的に埋め立てて造られた。UAEの英字紙ナショナルは世界最大の人工島と紹介し、ロイターは「世界最大の人口リゾート島」と報じた。3つの人工島を合わせた広さは、ドバイのパーム・ジュメイラの1.5倍に達するという。
一戸も売れない39棟のマンション
開発は2011年、創業者の許家印氏がシンガポールで描いた人工島の設計図から始まった。ニューヨーク・タイムズが報じた恒大自身の説明によると、許氏はその後、「細部のすべてを綿密に監督した」という。建設には10年以上を要し、2020年に開業した。
計画では、最大20万人分の宿泊施設に加え、遊園地、オペラハウス、水族館、免税ショッピングモールが並ぶはずだった。しかし、ほぼ完成しながら一戸も販売できず、高層マンション39棟は現在、瓦礫の散らばる荒れ地に佇む。5100室のホテル「ザ・キャッスル」では、2つの屋外プールは水が抜かれ、年間の大半はほぼ空室のままだ。商店街は人けのない映画セットのように静まり返っている。
資金不足と規制強化による頓挫
恒大は目標の20万人が滞在可能な施設を建てるには230億ドル(約3兆6600億円)が必要だと認めていたが、資金は必要額に届かず、開発は中断。さらに、習近平政権の不動産規制強化が計画に終止符を打った。未完成のまま放置された場所には雨水がたまり、いまでは釣り場になっている。
このリゾート島に投じられた資金と、計画を信じて住宅を購入した人々の無念は大きく、海花島は中国の不動産危機を象徴する光景の一つとして、半ば朽ちた姿を南シナ海に晒している。



